○○思考を再認識:戦略思考のフレームワーク

公開日: 2017年1月7日土曜日 ビジネス メソッド リサーチ

○○思考とか○○シンキングという言葉 論理的思考、批判的思考、デザイン思考などなど(マイナス思考とかもそうですね)色々あります。。これらの内容、何となくは知っているような気はするけど、具体的な定義や、それぞれの関係性や位置づけ、または方法論など、実はあんまりよくわかったりします。この本は、そういった色々な思考の体系化が整理されているので、著者の意図とはちょっとずれているかもしれませんが、○○思考の体系化を学ぶのに役立つ本だと思いました。


戦略思考のフレームワーク 未来を洞察する「メタ思考」入門
西村行功 東洋経済新報社
2010年3

前半ではこういった体系化の説明がありますが、戦略的思考は4つのブロックで整理されています。

・思考のOS:演繹的推論、帰納的推論、定量思考、因果思考
・ロジカルシンキング:MECE、ロジックツリー、仮説思考、肌感覚
・システムシンキング:因果関係のリンク、相互依存とフィードバック、時間的遅れ、時系列グラフ
・シナリオシンキング:フレームワークスキル、オープンマインドスキル、プロセスマネジメントスキル

と思考のオンパレードで、どれも聞いたことはある内容ですが、本を読んだ感想として、この中でシステムシンキングは少し難しかったです。概念は何となく分かるんです。例えば今までにない概念をつくり出したり、不確実性の高い社会に対応していくためには、ロジカル(論理的)シンキングだけで全てを説明づけることは限界があって、最近ではデザイン思考などがそれのアンチテーゼ的な位置づけで存在しています。で、そういったことを、個々の事象だけでなく関係性や文脈(コンテクストを読み解く大事さってよく聞きます)を理解するのが、このシステムシンキングにあたるのかと思います。ただ、それを説明するために、そもそも流動的に変化し続けるシステムシンキングに対して図やフレームワークで整理をすること自体が相性悪いので、本を読むだけではダメで、体験を経て理解できるものなんだろうなと思いました。(つまり、自分はまだ内容を解釈できていないのです)

後半ではシナリオプランニングのやり方が書かれています。個人的にシナリオプランニングはこれからの新規企画に取組むうえでとても大事な思考法だと思いますが、プロジェクトの内容によって進め方や整理の仕方は、もっとその人なりのアプローチだったり、プロジェクトに応じた使い分けがあってもよいのかなと思っています。とある著名な人とお話しをした際、シナリオプランニングは世の中の大きな流れを捉えるのには有効だけど、1つの事業企画やプロジェクトで扱うテーマとしては、未来洞察などのアプローチの方が機能する、ということをおっしゃっていました。僕が実際に関わる案件はそこまで大きなテーマを扱うことはないので、シナリオプランニングを使う際は内容に応じたアレンジが必要かと思います。


といっても本書は、細かく丁寧に説明されているのでシナリオシンキング(思考として)を理解するのにはとても勉強になる内容です。かつ、それ以上に「なるほど〜」と思ってしまうことが文中の随所にちりばめられており、それだけでも読む価値は十分にある内容です。個人的に深く共感した内容をいくつか紹介します。

●フレームワークは「埋めて終わり」のテンプレートではなく、思考の一助となるツールであることを再認識しましょう。(P170)

●シナリオのストーリーを描く際には、「すでに起こった未来」として完了形で書くことも重要です。「〜なっているだろう」ではなく「〜なっていた」と書くのです。・・・・すでに起きたことを見てきたように書くと、案外、ストーリーが書きやすくなります。(P212)

●シナリオプランニングでは、「いつかはそうなる」ではなく「いつそうなるか」を考えます。未来トレンドを分析する際に時間の概念を入れ、その時間軸での確定的要素と不確実性を判断し導かれるのが、複数の起こりうるシナリオです。(P149)

特に1つめの「テンプレート思考に陥らないように」というのはすご〜くわかる、というか肝に銘じたいメッセージです。デザイン思考ベースのワークショップでよく、アイデア整理のフレームワークだったり、ビジネスモデルキャンバスのフレームワークが登場しますが、僕がみた多くの場合で、それが単なる穴埋めのテンプレート思考になっているように思います(自分がファシリテーションした取組みでも、そういうのがあったかも)。これは本当に大事、気を付けたいですね。
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