ビジネスモデルキャンバスの前に知ることがある:ビジネスモデルを見える化するピクト図解

公開日: 2017年11月29日水曜日 ビジネス マーケティング メソッド

表題の通りなんですが、新規事業を創出するワークショップとか、デザイン思考プログラムとかに関わると、結構な確率で『ビジネスモデルキャンバスを書いてみましょう』というワークが組まれていたりします。僕はこのやり方には反対で、まず始めてみる人にはこのキャンバスが何なのか理解できていないし、ワークとしてやることがただの穴埋め作業のテンプレート思考になってしまうので、クリエイティブな要素が全然感じられないからです。(別にビジネスモデルキャンバス自体を否定しているわけではなく、使い方が間違っているという主張です)

多くの人はビジネスモデルに対する認識も十分ではないので、そもそもビジネスモデルってなんだ?という話になります。それに対して最も基礎的なところを構造的に理解することができるのが本書になります。ビジネスモデルというと経済学系の難しい本が多い中、よく出版してくれたと拍手を送りたいです。



ビジネスモデルを見える化するピクト図解
板橋悟
ダイヤモンド社 2010.02

本書はビジネスモデルを文章ではなく図で示して理解することを目的としています。よく難しいビジネスモデルの説明図を目にすることがありますが、ここでは基礎となるいくつかのルールと応用を抑えておけば、ほとんどのビジネスモデルを図に書くことができます。ここまでシンプルにしたのはすごいことだと思います。

詳細は本文よりもメモを見てください。その方が一目瞭然です。
まず書くための基礎パーツは次の6つです。

・ヒト
・モノ
・カネ
・関係性の矢印
・時間の矢印
・まとめ

このパーツを組み合わせてビジネスモデルの図を書いていきますが、ここでも基礎となる8つのパターンを覚えておけば、世の中の多くのビジネスモデルがこれに当てはまるということです。

①シンプル物販モデル(直販、飲食店など)
②小売モデル(小売店舗など)
③広告モデル(CMなど)
④合計モデル(旅行パックなど)
⑤二次利用モデル(雑誌→単行本など)
⑥消耗品モデル(カミソリなど)
⑦継続モデル(月額購読など)
⑧マッチングモデル(不動産仲介など)



うん。改めて見返してみても、これすごい分かりやすいです。これだったら始めての人でも書けそうな気がしませんか?もし新規事業でビジネスモデルの構想を考えるんだとしたら、はじめにこのくらい基礎の入り口的なところから考えていかないと、枝葉の議論で本筋が見失われてしまうと思います。だからといって、これがワークショップなどのプログラムに有効かどうかはわかりませんが(個人的にはビジネスモデルはじっくりと考えていく方がいいと思うので)、みんなが共通理解できる図が書けるようになると、議論が活性化するなと思いました。



ただし、最近のビジネスで中心となっているのは、プラットフォームを軸にしたサービスだったり、ユーザー参加型のサービスだったりするので、ここで本書で書かれている8つは、20世紀の代表的なビジネスモデルであって、21世紀はさらに複雑になっているということを認識しておいたほうがいいのではと思いました。
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