インサイトの定義を改めて考える:インサイト・消費者が思わず動く心のホットボタン

公開日: 2017年4月26日水曜日 コミュニケーション マーケティング リサーチ

僕が仕事の中で、主にリサーチの結果やフィールドワーク気づきを得たとき、インサイトという言葉をよく使います。こういったカタカナ言葉を適当に使ってしまうと、みんな分かったような気になって実は何も中身がない会話...みたいなダメダメな状況がよく起こりがちです。なのでインサイトとは何かを今一度考え直してみたいと思います。




インサイト・消費者が思わず動く心のホットボタン
桶谷功 ダイヤモンド社
2005.02


著者はアカウントプランニングディレクターとして、色々な商品のブランドコミュニケーション戦略に携わり、ハーゲンダッツなどのCMを企画した実績を持つ方です。その著者がインサイトとは何かを端的に説明した内容がこちらです。

・インサイトとは『本音』のこと
・本音をいかに引き出せるかが専門家の実力


一般的にはインサイトは洞察や発見という言葉に置き換えられますが、本音(ユーザーの本心)という方がより実感として伝わる表現だと思いました。現場をさっと見たりユーザーと軽く会話した程度では表面的な理解の域を出なく、それだと本音は見えてこないものです。そこでもっと深く入り、本音レベルまでの潜在的な声や課題を引き出せて始めてインサイトということができます。何となくわかった気になっていたけど、改めて捉え直すことができました。

インサイトの深度についても言及していたのが興味深かったです。浅すぎるとダメなのは当然ですが、深すぎると今度は抽象的になるから、その先の戦略にまったく結び付かなくなってしまいます。その適切な深度はどうやって見極めるのかは、実績と経験によるスキルで身につくものだと思うので、考えることに「このインサイトは浅いか?それとも深いか?」を意識して取り組むことが大事だと思います。


本の前半は理論中心で、後半は著者の実績をもとにした事例紹介があり、個人的には後半の事例の方がより、リアリティがあって面白く読めました。ハーゲンダッツもSchick(男性用髭剃り)も当時のテレビCMとしてはインパクトがあり、うまく売上の向上にも結び付いているので説得力があります。

食品や消費材などの商品は、特にユーザーの心に響かせることができるかどうかが、売上や数値となって明確に表れるので、厳しくもあるけど、その分クリエイティブな人のパフォーマンスが評価されやすい業界であるともいえます。こういった人が、インサイトの様な、捉えにくく勘違いされやすい概念を正しく広めてくれると、僕の仕事も理解してもらえるようになるので、ありがたいことです。
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