デザインリサーチともいえる:心理マーケティングの基本

公開日: 2017年4月28日金曜日 コミュニケーション マーケティング メソッド リサーチ

タイトルだけ見ると怪しさたっぷりです。心理マーケティングって、何か人をだますとか(心理学系の本ってそういうの多い)そんな印象すら感じます。が、内容はいたってまじめで、基本に忠実な調査方法について書かれた教科書のような本です。




この1冊ですべてわかる心理マーケティングの基本
梅津順江
日本実業出版社 2015.06


心理マーケティングとは何かというと、僕の理解では『人を知るための定性調査』といえるのではないかと考えます。比較としてその反対を上げると、人口動態とかの主観が入らない定量的(数のこと)な統計調査だったりします。人と定性はデザイナーがよく扱う情報ですので、心理マーケティングはデザイナーのためのリサーチ方法といってもそんなに外れてはいないかと思います。

リサーチ方法について大きく、みる・きく・感じるの3つで具体的な、タイトルの通り基本的な内容から具体的な方法について細かく教科書のように説明があります。改めて認識するという意味も兼ねてですが、覚えておきたいことを箇条書きでまとめておこうと思います。

みる
・情報の9割は非言語のコミュニケーション(うなずきや仕草など)
・見る=See、観る=Watch、診る=Look
・鳥の目=広く、虫の目=深く、魚の目=変化を見続ける
・エスノグラフィは傍観するだけでなく、関わって深く理解することも大切
・現場の独自性を取り入れる(進行形、即興性、複雑性など)


きく
・あいづち等によって得られる情報もある、非言語をききとる
・聴く=Listening、訊く=Asking、聞く=Hearing
・一方的に質問するのではなく、ラポール形成を意識すること
・相手との会話ではペーシング(リズム、話し方等)が大事
・色んな角度からつついて真意を表出させるプローブテクニック
・質問ではなく語らせてきくエスノコグニティブインタビュー


感じる
・第6感、第7感で得られる情報や判断がある
・本音と建て前の文化をくみ取り、発言や行動の意図を知る
・形式的なインタビューではいい人を演じて本音を語らないことが多い
・記憶はウソをつくことがある(本人が自覚なく)


といったことで、特に『感じる』はそれこそ感覚的なスキルなので、理屈で学べることではありませんが、そこにセンスや専門スキルが問われるので、面白いところです。またこういったことで得られる情報は定量的に差し図れるものではないので、どのように解釈しどう分析するかという点も、定量リサーチとは大きく違う点なのかと思います。





こういった取組みって、リサーチだけどとてもクリエイティブなことだと思いますし、デザイナーが積極的に取り扱うことで、自分のデザインをより高める強力なツールになりえるのだと思います。ただ一方でデザインにとってこういったリサーチはあくまでツールあり、リサーチをするだけで満足はせずに、その結果が何につなげられるのか?ということを常に意識しながらやっていくことが大事なのかなと考えます。

  • ?±??G???g???[?d????u?b?N?}?[?N???A