さくらももこの描き方とセンスに影響を受けたあの頃:総天然色満足感

公開日: 2018年9月28日金曜日 クリエイティブ デザイン ヒト

ちびまる子ちゃんやコジコジでお馴染みのさくらももこさん、僕にとっては小学生のときに色濃く影響を受けたマンガです。りぼんで連載が始まったのは僕がちょうど小学校の中学年ころ、友達もみんなあの世界観に引き込まれたわけですが、僕は絵柄にもひかれるものがありました。記憶があいまいなのですが、この画集は僕がたぶん中学生くらいのときに自分で買ったのか、両親からプレゼントしてもらったどちらかの本です。



総天然色満足感
さくらももこ
集英社 1995.04

当時、僕はインド・中東・東南アジアのテイストや色味が好きだったので、(のちに始めて行った海外旅行がインドでした)くすんだ茶系の色とか、定規を使ってないような線のパターンとかが好きでした。それが今の自分の絵のテイストにもつながっているように思いますが、あらためてこの画集を見ると、相当さくらももこの影響を受けているんだなということに気づかされました。自分自身を振り返る意味でもイラストを真似てみて、さくらももこの絵の何がすごいかを紹介できればと思います。

模様やパターン

インド系の民芸品・建物・タペストリーなどには緻密な模様が描かれたものが多いですが、その雰囲気がさくらももこのイラストには多く使われています。ビンや菓子箱のラベルもつくっています。これにグッときて、当時マネして額縁風の絵を描いていたような記憶がありますし、自分にとってはデザインとしての意識がはたらいたキッカケだったかもしれません。描いてみて気づくことのは2つ。1つめは定規やPCを使わないこと、2つめは隙間をつくらない(空いてたら何かしら模様で埋める)、この2つが独特の味が出せるポイントだと思います。

様々なスタイルのオマージュ

イエローサブマリンのサイケデリック、宗教画、西洋のポストカード、民族の文様、和洋折衷の対象モダンなどなど、色々な国・文化・時代・流行のテイストを取り入れたイラストがみられます。この取り入れ方が、なんともセンスがよく上手いんです。身の回りで流行っている表現だけでなく、自分なりの目と価値観を持って見つけること、そしてそれをオマージュとして使い、最終的には自分なりのスタイルにしています。どうしても自分の範囲だけでやろうとすると表現の幅が限られてしまう(楽なのでついつい凝り固まってしまう)ので、この姿勢は見習いたいなと思いました。

緻密に書き込む

さくらももこの絵は、線一本で奥行き感とか躍動感とかが感じられる立体的な絵ではなく、どちらかというと平面的でイラストの要素が強い絵です。なので実は一本一本の線がとても丁寧に描かれていて。それがキモなんじゃないかと思います。線を丁寧にかつ緻密に書き込んでいくと、絵の上手いヘタにあまり関係なく、イラストとして魅力的な絵を描くことができます。僕は飽きっぽい性格なのですが、絵をかき込むことに関してはいつまでも続けられます。このスタイルもさくらももこから教えてもらったような気がします。久しぶりに画集を見ながらマネしてみました。



小中学生のころを思い出してこの画集を見返して、改めてとてもいい本に出会うことができたと思いました。自分の人生に影響を受けた本はいくつかあると思いますが、この画集は間違いなくそのうちの一冊に入ると思います。

どうか天国でも人を楽しく幸せにする絵を描いていられますように。
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