魅惑的なリサーチ-AMO側:行動主義 レム・コールハースドキュメント

公開日: 2017年4月17日月曜日 ソーシャル リサーチ 建築

前はOMA側から建築設計の取組みを主に書きましたが、今回はAMO側の視点を整理してみようと思います。まずAMOという存在が何なのか?というところからですが、簡単にいうとOMAのリサーチ部門という位置づけの様です。ただ都市・雑誌・政治など、対象は建築だけではなく多岐にわたります。建築のプロジェクトに全くつながらない取組みも多いのだとか。

実績も、EUのアイデンティティや雑誌Wiredを再定義して編集する取組みであったりと、単なる調査会社ではなく社会にインパクトを与えることをやっています。ちなみにレム・コールハースは元々ジャーナリスト出身であり、こういったアプローチは得意なのだと思います。




行動主義 レム・コールハースドキュメント
瀧口範子
TOTO出版 2004.03


OMAの建築がとらえどころがなくつかみにくいのと同様、AMOの活動も正直よくわからないところがあります。ですが、AMOは他にはないリサーチ機関としては変わった特徴が1つあります。それは

論理的ではなく魅惑的か

ということです。この言葉自体が謎なので説明しますが、彼らはデータから得られる結論を導くためにリサーチをしているのではなく、アイデアを発明するためにやっているということです。なのでリサーチの内容も量的分析ではなく、自分たちが面白いと思うことを探求したり、ありのままの姿を吐き出すといったアプローチをとるそうです。

また、予測可能な方法に頼らないためにも、毎回ゼロから始めて、ツールをつくることはあるけど決して自動化はしないそうです。なのでアウトプットは粗削りでアマチュア的で危なっかしい印象はあるけど、その反面、不定形で不器用なエネルギーがあるということです。

さらには、コンサル会社がよくやるような結論づけるまとめもあまりしないそうで、既存のリサーチに携わる人がその内容を見ると???となりそうです。でもこれってデザインに関わる人だったらとても共感できると思います。なぜならクリエイティブに関わる人はみんな、対象を詳しく知ることはあくまで手段であって、どう解決するかの切り口を見つけることが目的と考えているからです。


ここが一般的に捉えられているリサーチの概念と大きく違うところです。僕は、これからデザインリサーチがより大事になってくると考えていますが、リサーチというとクリエイティビティが下がると誤解を受けることがよくあります。もっとデザインリサーチとは何かを、うまく理解してもらう必要があると思っているのですが、AMOの取り組みを通じて、何か突破口につながりそうな要素が見えてきました。

リサーチを感覚的な要素に思いっきり振ってみると面白いかもしれません。そしてこれは誰もができることではなく、デザイナーやクリエイティブに携わるような人だからできることでもあるので、こんなところから今年は色々と、自分の取組みを具体化していこうかなと計画していたりします。

  • ?±??G???g???[?d????u?b?N?}?[?N???A