アイデアを考えるための条件:USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか

公開日: 2017年4月19日水曜日 デザイン マーケティング メソッド リサーチ

森岡さんの本は前に2冊すでにこのブログで書いており、この本は一番始めに出たもので、紹介する順番は逆になってしまいました。以降の2冊は戦略の考え方や数式の使い方など、マーケティングの専門的な内容です。それに対して本書の特徴はずばり、アイデアの出し方にフォーカスしています。なのでデザイナーやクリエイティブに関わる人にとっては親しみやすい内容であるかといえます。


USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか
森岡毅 KADOKAWA
2014.02

森岡さんは、よいアイデアを生み出すためにはアイデアの必要条件を設定すること、についてを一貫して強調していますが、本書では、じゃあ具体的にどうやってやるのかをUSJで実際に行った事例で紹介しています。思考プロセスをあえてフレームワーク的に書くとこんな感じです。

1.テーマを設定する
2.そのテーマのキーファクターを見つける
3.キーファクターにもとづくアイデアを発想する

一例として3.11の影響で集客数が大きく減少していたときには、

1.テーマ
・USJで人を元気にする力を与える

2.キーファクターは
・自粛ムードの潮目を肯定的に変えられること
・1.5カ月の間でワンピースのイベント並みの集客力があること
・追加キャピタル(投資)が必要ないこと

3.アイデア
・子どもを無料にする
・いっぱい笑顔になりに来てください

という解決策を実施していました。当時の大阪市の動きとタイミングが合うこともあり、結果、波及効果の高いプロモーションの訴求が行え多くの集客を実現することができたそうです。

ここで注目すべき点は、2のキーファクターで必要条件が特定できれば、解決アイデアは1つに限らず色々と考えられる、でもどれもそんなに的を外していないアイデアになれる、というところです。やみくもにたくさんアイデアを出すのではなくて、響くアイデアにするためには、発想力を妨げない範囲の必要条件が欠かせないといえます。野球に例えるなら打席数よりも打率の高さです。



ここまでがアイデアの考え方(姿勢)についてでしたが、後半ではアイデアを生み出し実現化させていくための整理も紹介されています。1~3は割と論理的な理解ができますが、4は少し異質です。他の本などでもよく見られますが、気合いと根性は、プロジェクトを達成させるためには、実は大事だということです。

1.フレームワーク:着眼点をどこに定めるかを見極める
2.リ・アプライ:土台があると実行スピードが増し成功確率が上がる
3.ストック:情報の質的・量的な蓄積をしておく
4.コミットメント:必死さと執念でやりぬく

僕自身の傾向でもありますが、最後の最後まで詰めに細心の注意と熱意をもって関わらないと、100点に近いものがゴール直前で30点くらいまで簡単に落ちてしまうことがよくあります。特にデザインの取組みは、理屈でなくアウトプットがすべてのところがあるので、少しでも手抜きがバレてしまうと、とたんに魅力を伝わらなくなってしまいます。

森岡さん自身もそういうタイプだったそうなので、僕も今から、理論だけに偏らないよう本を読むばっかりでなく、実践もどんどんやっていかないと、と。
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