目で聞くコミュニケーションスキル:FBI式人の心を操る技術

公開日: 2017年6月2日金曜日 コミュニケーション メソッド リサーチ

店頭でよく置いてありそうな、黒い心理学とかに近いちょっと怪しい系のタイトルですが、そういったうさん臭さはないのでご安心ください。原題は『You Say More Than You Think』なので、「あなたは考えているよりも多くのことを言ってるんだよ(ボディランゲージは多くを語る)」、というのが本書の趣旨の様です。



FBI式人の心を操る技術
ジャニーン・ドライヴァー
メディアファクトリー新書 2010.06

人が発する情報は、言語情報が1割で非言語情報が9割、という説(メラビアンの法則)を聞いたことがある人は多いかと思います。つまり、口から発している言葉はごく一部で、それ以外の話すスピード・しぐさ・表情・姿勢などから得られる方が圧倒的に多いということです。例えば相手が「分かりました」といっても、嫌々の態度で言ってたら本当は納得していないし、素早く適当に言ってたら理解していない、と読み取ることを、普段のやりとりの中でごく自然に察知しています。項目と数値で分けるとこうなっているようです。

・言語情報(つまりテキスト):7%
・聴覚情報(話すスピードやトーンなど):38%
・視覚情報(外見印象、仕草、ふるまいなど):55%

本書をここで紹介した理由は心理学への理解としてではありません。ストラテジーやリサーチに関わる人は多くの人との対話によって分析や洞察をしていきますが、いかに言葉だけではない情報を得ることができるか、といった定性調査のスキルに大きく起因する、と考えたからです。

たまに人の気持ちを読み取るのが上手い人と出会いますが、僕はそういった才能を持ち合わせていないようで、いわゆる「鈍い人」の部類に入るような気がします。なのでちょっと諦めていたのですが、この本に書かれている内容は、才能を問わず意識すべき観点を知りトレーニングを重ねれば上達することができるものとなっています。



具体的な内容はテキストで書くよりも上のノートのメモを見てもらう方が分かりやすいかと思いますが、そんなに難しいことはないのにはっきり態度が意思に表れることが読み取れることに驚きです。(心理学系はこういうのについつい惹かれてしまいます)1つだけ紹介すると、ヘソの向きが自分を見ているのか避けているのかで相手の態度が読み取れる、というのはとても単純明快で、でも確かにそうだと思える内容です。そんなのがたくさんあります。

...ちなみに、話は全然それるのですが、僕は(いつか)短編マンガを描きたいと常日頃思っているのですが、こういった仕草や顔の表情は人物を感情を伝えるのにとても参考になります。メモの右側に表情の変化を書いてみました。顔は、おそらく著者と思われる人が本書に出ていたので、その人の普段の状態をもとに、特徴の要素を絵にしてみました。感情、出ていますでしょうか?


ボディランゲージを読み取るのは、黒い心理学的なことにも使えるとは思いますが(本書の和文タイトルが人の心を操るだし)、僕としては、定性調査として読み取る力もそうだけど、相手が話しやすくなれるための自分のふるまいも含めたインタビュースキルを高めるために、身に着けるべき内容として使えるのではないかと思いましたのでおススメです。怪しそうな本と思わずに読んでみてください。

ただ、みんながこれを読むと、会話するときにお互いがお互いのふるまいを気にして、ぎこちない感じになりそうなので、実はあまり知られたくない気持ちもあったりします。
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