動的で現在進行中のビジネスモデル:プラットフォームの教科書

公開日: 2017年7月19日水曜日 ビジネス メソッド

サービス・マネジメントのセミナーを受けてから、プラットフォームがもつビジネスモデルの強力さがあらためて気になりました。このプラットフォームという概念は何となくわかっているようで抽象的にしか捉えていない言葉です。そしたら、たまたま2017年の5月に出たプラットフォームの教科書という、ズバリの本があったので、これまで世の中で出てきたことの体系化と今の最新の状況を整理することができるかもと思い、読んでみました。



プラットフォームの教科書 超速成長ネットワーク効果の基本と応用
根来龍之
日経BP社 2017.05


プラットフォームをごく簡単に図で示すと、レイヤー構造になっている(プラットフォームの上に補完製品がのっている)ということで、従来のモノ売りに当てはめられていたバリューチェーンは左から右の横で描かれる図ですが、プラットフォームは縦だったりサイクルの図になるのが特徴です。ノートのメモに描いていますが、このくらい簡単に整理できると基本が理解しやすくなります。


本書の中で個人的に2つ興味深い事例分析がありました。1つは任天堂のクロスプラットフォーム戦略です。ハードウェアでプラットフォームを構築してきた任天堂にとって、スマホゲーム市場は脅威です。任天堂もスマホゲームを無視はできず昨年、ポケモンGoやマリオRUNでスマホゲーム市場に参入しましたが(1つのゲームソフトでもあれほどブームを起こせる任天堂はやっぱりスゴイ!)任天堂の狙いは両方のプラットフォームにまたがることで、その仕組みとなるのがハードウェアのSwitchであったり、機器を問わず共通で使えるネットワークID(プラチナポイントは横断的に使えるサービス)ということです。最近はゲームをあまりやらなく疎かったのですが、これからはプラットフォーム視点で見ながら応援していこうと思います。

もう1つはAirbnbやUberなどシェアリング・エコノミーといわれるサービスですが、特徴的なのはプロではなくアマチュアが事業者として参加している『アマチュア・エコノミー』であるということです。サービス・マネジメントの話でもありましたが、アマチュアの参入によって関わるプレーヤー数の桁が変わり、規模は一気に拡大します。この数の力はプラットフォームとの親和性が高く、欠かせない視点です。ですが、アマチュアなので当然、品質や悪意といった要素も入ってきます。それに対しては、仕組みとルールを設けることで信頼と信用を担保させる、といったきめ細やかなサービスがビジネスとしての成否を大きく分ける要因となりそうです。

著者の根来先生はアカデミックな分野の方なので、プラットフォームを体系的に捉えて分かりやすく伝えていますが、一方で実際の社会で行われていることと乖離しないよう、現場視点であることがビジネス側の人にとっては実感を持って理解することができます。個人的にカッコいいなと思った一文があったので紹介します。

(アマゾンはプラットフォームであるかについて…)「現実のビジネスはアカデミックな定義とは関係なく進化し、どんどん形を変えながら発展していく。その中でプラットフォーム的要素はいろんなビジネスへとしみ込んでいく。定義上、プラットフォームであるかないかよりも、プラットフォーム的要素がどう活用できるかを考えるほうがビジネスパーソンには有益だ。」 P108より

プラットフォームをめぐる実態は、いろんな要素が見え隠れしているので、とても動的で複合的なビジネスモデルだと思います。本書の中で書かれているものだけでも、ネットワーク効果・先発優位・規模の効果・マネーサイドとサブシディサイド・バンドワゴン効果・マルチホーミングなどなど。(まだよく理解しきれていないので、とりあえず書いておく戦略)まずはそういったものであることを知ったうえで、いま世の中にあるサービスを、自分だったらどうするかというストラテジーを考える習慣を持とうと思います。
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