マインドフルネスの先駆け:シカゴ・ブルズ 勝利への意識革命

公開日: 2017年7月25日火曜日 コミュニケーション

先日のスペキュラ会で、帰り際になぜかバスケの話で盛り上がったとき、熱く語っていたYさんから教えてくれた本です。僕は世代的にバスケといえばスラムダンクとマイケル・ジョーダンですが、シカゴ・ブルズは実はジョーダンよりも監督がすごかった(ブルズの後に移籍した別チームでも優勝している)というお話しです。



シカゴ・ブルズ 勝利への意識革命
フィル・ジャクソン、ヒュー・ディールハンティー、中尾真子(訳)
PHP研究所 1997.03

バスケというとアグレッシブなプレーヤー達が集まり、かつ本場アメリカならば更に激しいスポーツという印象がありましたが、監督のフィル・ジャクソンは"Zen Master"と言われているほど、禅の思想をもとにチームワークでプレーすることを体現した人です。(彼自身はクリスチャンであるようですが)

この本は禅の考えを通じてチームワークの大切さについて教えてくれます。勝つチームをつくる最も効果的な方法は『自分自身よりも何か大きいものにつながっていたい欲求に訴えること』だということです。個人パフォーマンスがどんなに優れていても、何かと結び付いていなければ勝っても虚しさを感じるだけで、より自身が成長を望むためにはチームとして取り組むことが大事であると述べており、こういった考えは自己を外から見つめる禅の思想から来ているようです。

当時、中学生だった(かつスポーツが苦手な)僕には知るはずもなかったのですが、マイケル・ジョーダンというスーパースターは決して個人プレイで目立っていたわけではなく、自分のチームの動きをどれだけ向上させられるか、という視点に基づいていたそうです。バスケ関係者では有名な(僕は知りませんでしたが)"トライアングル・オフェンス"というフォーメーションは、5人でやる太極拳のようなもの(例えが面白い)で、互いの意思疎通ができていないと機能しないものだそうです。これは、理論やテクニックだけでできるものではなく、集中力・共感力・視覚化(全体像をイメージでとらえる)といった思考が大きく影響します。


最近ITやビジネスの分野でもマインドフルネスという言葉をよく耳にします。ITに限らずデザインの分野も最近は1人でできることはだんだん少なくなり、多種多様な専門家たちとチームで取り組むことが重要になってきています。そういった背景から、チームワークの大切さとマインドフルネスがつながってきているのだと思っていますが、それを20年以上前に実践している人がいた、というのが驚きです。(スティーブジョブスも瞑想に傾倒していたようですが、チームワークの目的とはちょっと違う気もする)

Googleとか欧米側の人たちからマインドフルネスや禅のことを言われても、日本人の僕には響かなかったのですが(知ってるよ、とたかをくくってた)、この本を読んで考え方が変わりました。考えてみたら日本にいても禅そのものを学ぶ機会が特別あったわけではないので、それこそ外から見て自分のことを知るためにも素直に取り入れてみようかな、と思いました。
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