いろんなレイヤーでの戦略がある:ビジネスモデルの教科書

公開日: 2017年12月1日金曜日 ビジネス メソッド

この著者はビジネスモデルに関する本を2冊(一般編?と上級編)出しており、両方読んでみました。別に僕はビジネスモデルに詳しいわけでもないのに、いきなり上級編も何だかあれですが、せっかくならこの際、一気にいろいろ詳しく知ろうという意気込みで読んでみました。



ビジネスモデルの教科書上級編:経営戦略を見る目と考える力を養う
今枝昌宏
東洋経済新報社 2014.03

感想としては、面白いです。すごく面白いです。僕はプロダクトデザイン出身の人間なので、いままでは割と商品やエンドユーザーが使うサービスにしか強い興味を持っていなかったのですが、そうではないバックエンド側、例えば流通とか金融とか、あるいは企業間連携など色んなところでのビジネスモデルがあるんだということを知りました。

上級編はちょっと難しい(内容というよりか構成が難しい)です。教科書としてしっかり読み込んでいけば1つづつ理解できるものだとは思いますが、大項目と小項目のカテゴリが頭の中で理解できなかったり、ビジネスモデル同士を並列して比較する読み方が難しいため(辞書のように索引の構成になっていないのが難点)、全体感でとらえるには一般編の『ビジネスモデルの教科書』の方が入りやすいです。

ただ、分かりやすい構成にすることの難しさも少し分かるような気がします。(なんだか変な日本語になってしまいました)おそらくビジネスモデルという概念は、捉え方や分類の仕方によって、重複するものもあれば、レイヤーが全然異なる分け方になってしまったりするので、そもそもキレイに整理された体系図をつくるのは不可能なんだということが、ビジネスモデルに関する本をいくつか読んでいく中でわかってきた気がします。でもそんななか果敢に体系化を試みたのが本書なので、体系的に知っておきたいという人には上級編はありがたい本です。

ちょっと話は脱線しますが、最近の僕の1つの趣味というか手法というか、何でも本にしてまとめるという傾向があります。A4を二つ折りにして中綴じ(ホチキス止め)にしたものなので、コピー機とホチキスさえあれば1人でもつくれるものなんですが、一応デザイナーらしくキレイにつくっているので、見栄えとしてはそこそこ本らしくなってます。

で、ビジネスモデルの本をいくつか読んで、どれも辞書的に読むことが難しいので、力技でぜんぶを同じフォーマットにまとめて、自分のためのビジネスモデルパターン×63の本をつくってみました。本書2冊を一番のベースにしてつくっています。他にもいくつか本をつくっていますので、機会あれば紹介したいと思います。



ビジネスモデルの何割かは、デザイナーがアイデアを発想するときに強く結びつくものがあります。例えば売り切りモデルからリース形式にして月額で売上を得るビジネスモデルにシフトする、といったもの。KOMTRAXが代表的な成功例です(もちろんKOMTRAXはそれ以外にもIoTデータ活用など様々なユニークな仕組みがあるから成功しているわけで、故にビジネスモデルをキレイに分類するのは、難しいということですが)。これはデザイナーも抑えておいたほうがいいと思いますし、ストラテジストであれば必須ですね。

一方でデザイナーとは距離の遠いものもあります。例えばブランド買収なども1つのビジネスモデルです。これらは深く知っておく必要性はそんなに高くはないと思いますが、ただこういった戦略があるということも知っておくことで、自分のアイデアが全体の中でどういう位置づけにあるかということを理解できるのは大事なことだと思います。違う部門の人ではビジネスモデルを考えるときの捉え方がデザイナーと反対側であることも多いので。
この本はラフですが割とよくまとめることができました。当然売ってはいませんし手作りなので数はないですが、興味ある方いましたらご連絡ください。
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