すみっコ理論を分析してみた:すみっコぐらし

公開日: 2018年9月27日木曜日 クリエイティブ メソッド

すみっコぐらし、知っていますか?子どもたちに大人気のキャラです。娘が4~5年くらい前に興味をもって、僕はそのときに知ったのですが、いまでも手堅い人気を築いています。子ども向けの「ね~ね~」という雑誌(いろんなキャラが出ている4コマ漫画中心の内容)があるのですが、表紙が毎回すみっコぐらしなんです。なぜこんなに子どもたちの心をつかんでいるのか、とても興味があります。

すみっコぐらし
よこみぞゆり
主婦と生活者 2014.03

すみっコぐらしは、空いているのに電車の端の席や部屋の角を好む(みんなもそうですよね?)キャラクター達が登場します。登場人物は、寒がりで北極から逃げてきた『しろくま』、自分がペンギンかどうか(実はかっぱ?)本当はわからない『ぺんぎん?』、はしっこで食べ残された『とんかつ』、太めで気弱な『ねこ』、実は恐竜であることを隠している『とかげ』など。見事に統一感がまったくないですが(とんかつの端をキャラにしたのはすごい)、共通してみんなどこかしら訳アリで、自信がなかったり引っ込み思案だったりします。そしてこの5人に対してみにっコというキャラもいます。(ちなみに娘はにせつむりが大好きです)



そのすみっこたちが、場所を取りあったり、だらだらしたり、ほっこりしたりと、ゆるい生活をしているのですが、それがどうして子どもや大人にグッとくるものがあるのかを考えてみました。

これまでのキャラクターは大きく2種類ありました。1つはみんなの人気者やヒーローのような存在で、ミッキーやピカチュウなどから仮面ライダーなどがあげられます。このキャラ達は20世紀に多く登場しています。その反動なのかどうか、21世紀に入るともう1つのカウンター的な存在が出てきます。プーさんにはじまり、りらっくま、ぐでたま、ゆるキャラなどの癒し系です。このキャラ達はリーダー性や強い存在ではなく、非アクティブ(熊なのにインドア思考なりらっくま)やブラックな(「つまんね」とかいうぐでたまとか)要素があったりします。

一見すると、すみっこぐらしは後者の方に位置付けられると思ってしまうのですが、実は違うんじゃないかというのが僕なりの分析(というほどのものではないけど)です。癒し系は強さは持っていないけど、表舞台が似合う誰からも好かれる主役的な立場です。それに対してすみっこぐらしはあきらかにみんなが主役にはなれない存在です。みんな自信なかったり気弱だったりして、裏方にいたいと思っているキャラ(だけど決してひねくれているわけではなくみんな素直)だからです。

僕は、ここがみんなの心をつかんだところだと思ってます。子どもは誰もが元気に前向きなわけでもなく、例えば大人が多い場では子どもはモジモジしてしまいがちで、何か聞かれても「わかんない」と言ってしまうことってよくあると思います。これは当然で、親以外の大人が多くいる場で子どもはアウェーなので、心理的な不安が強く、家の外を出ると子どもがそう感じる場面はたくさんあります。そうした場面での子どもの気持ちは、すみっこぐらしのキャラたちに当てはめてみると分かるような気がします。

みっこぐらしは子どもたちにとっての家であり落ち着く場所(なのでサブタイトルが「ここがおちつくんです」なのかも?)なところが、好きになってしまう要因じゃないかな、と僕は考えます。もちろん大人でも生活の中で同じように感じることは多くあって、僕自身もすみっこぐらしは大好きです。



作者がそこまで深読みしてこのキャラを生み出したわけではないでしょうが、この『すみっこ理論』は今の世の中の人々の気持ちがよく表れているから、一過性のブームではなく、ここまで人気が続いているんじゃないかなと思います。子どもと関わっていると学びになること、いろいろあります。
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