デザイナードリブンでないブランド戦略:ブランド論
デザイナーにとってブランドって心強い存在でもあり、一方で扱いにくい存在でもあり、難しいなと思っています。心強いというのは、関係部門(企画部門や開発部門など)と関わるなかで、ビジネス用語でありながらデザイナーが割と自信をもって語れる言葉であることです。難しいなというのは、ブランドって何なのかが結局のところ感覚的な捉え方だと人によって違うので、共通認識や意思決定に活用しにくいことです。なので、デザイナーが書いたブランドの本はいくつもありますが、あえて学術的に取組んでいる人のブランドに対する考え方を知りたいと思ってこの本を読んでみました。みました、、、が、、、正直なところ、まだ自分の頭の中には全然理解できていないです。ここがやっぱりブランドの難しいところであり、数字のようにデジタル化できる情報ではない(評価は数字でできると思いますが)けど、目に見えるかたちであらわれるものではないので(ロゴとかはあくまでそれを体現したなかでの一部)、表現する方法は言葉や物語が多くなります。そうすると、それぞれの言葉に対する正しい理解が必要なので、難しい、というわけです。
ブランド論 無形の差別化をつくる20の基本原則
デビット・アーカー 著 阿久津聡 訳 ダイヤモンド社
2014年9月
サブタイトルに20の原則とあるので、まずは目次の20項目を書いておきます。
01.ブランドは戦略を左右する資産である
02.ブランド資産には真の価値がある
03.ブランドビジョンを生み出す
04.ブランドパーソナリティでつながる
05.組織とその大いなる目標が差別化をもたらす
06.機能的便益を超えて
07.競合をイレレバントにするマストハブ
08.イノベーションをブランド化する
09.サブカテゴリ—をフレーミングする
10.ブランド構築の着想をどこから得るか
11.顧客のスイートスポットに注目する
12.デジタル‐ブランド構築の必須ツール
13.一貫性が勝利をもたらす
14.社内向けブランディングがカギとなる
15.ブランド・レレバンスを脅かす三つの要因
16.ブランドに活気を与える
17.ブランドにはポートフォリオ戦略が必要
18.ブランド拡張の方向性を見極める
19.垂直ブランド拡張のリスクとメリット
20.ブランド構築を妨害する組織内サイロ
全体を通して印象的だったのは、以前は1つの印象強いブランドをつくることが目立ったが、ブランドが溢れる現代においては、ブランドの関係性をマネジメントしたり、全体を束ねて正しい方向に導く戦略が重要になっているということでした。これはつまり、デザイナー主体で考えてロゴを起点にその商品の世界観をつくるだけでは不十分ということを意味していると思います。もう少し大局的に捉えてブランド戦略を考えていく必要がありそうです。
そうすると経営視点や構造化のような難しい話になるので、まだ今の僕では理解できないのも仕方ないかなと思っていますが、数年後に読んで、そうだったのか、となってくれることを期待します。まずはデザイナーとして、安易にブランド構想を考えるのではなく、ちょっと冷静になって位置づけなどを考えていきたいなと思います。(どなたか、おすすめのブランドについての本がありましたら教えて下さい)
ブランド論---無形の差別化を作る20の基本原則