エスノグラフィによるグローバル機会発見セミナー
3時間のセミナーを受けてきました。動機はセミナーのタイトルに「機会」の言葉が入っていたからです。そのくらい最近は「機会」に敏感です。このセミナーはMCTさんによる主催で、彼らのビジネスメニューを学びワークショップ形式で体感するというものでした。(写真不可だったのでメモ書きのみ)エスノグラフィによるグローバル機会発見セミナー
MCT@東京
2017月01月
ビジネスエスノグラフィについては、ここ数年でデザイナーやリサーチャーだけでなく多くの人に認知されるようになってきていると思います。もとは文化人類学者のアプローチで、自身と全く異なる文化圏を理解するために現地にがっつり入って体感を通じて知る、というものですが、近年はその手法をビジネスに活用し、生活者や消費者のマインドを定性的に知るための取組みとして活用されています。
それで、それを理解するためには目の前に見える製品やサービスに対する直接的な反応だけではなく、ユーザーがおかれる環境や文化・歴史など、その背景にあたる文脈(Context)を理解する必要があるといわれていますが、こういったことは知識で理解していても実際にできるかどうかは別なので、このセミナーではワークショップ形式で演習を含んで習得する内容でした。
僕が関わったグループは、ベトナムの家庭における家事を手助けするヒントを見つける、というテーマでした。既にMCTさんがリサーチしていただいた情報を読み込み「それって何でなんだろう?」を深く考えていくことで、いくつかの仮説が浮かび上がります。ここで改めて思ったのは、理詰めの整理だけではいくつもの仮説をつくることは難しいということです。僕は一応デザイナーなので(ちょっと偉そうにいうと)自分の持ってる知識や経験と組み合わせて色んな仮説を上げてみます。でもグループの中では、これが苦手そうな人もいて、ここで創造性が重要な役割を果たしているんだなと再認識しました。
前から思ってはいたことですが、改めて体験をすることで、論理的な整理と発想の飛躍をつなぎ合わせる思考の切り替えが自分の頭の中に働いていることを自覚しました。多くのデザイナーもいままでずっとこれを感覚的にやっていていましたが、これを一度、体系化して考えてみることで、プロジェクトを進める上での思考の効率化ができるんじゃないかなと思いました。いい収穫を得ました。
ちなみにこのグループワークで導き出した考えは、ベトナムの人は(日本に比べて)何か信じていない思考が見られ、自分で手をかけてやらないと気が済まないのではないか、という仮説を立てて、そこをある意味逆手に、ベトナムではまだ洗濯機やエアコンの内部の汚れを気にする風潮はないようなので、自分で開けて掃除しやすい機構にしてはどうか?(日本のロボットクリーニング機能ではなくて、自分の手で掃除できることが大事)というアイデアを考えました。結局、家事を手助けするためのアイデアには全くなっていないような気もしますが、ベトナム出身の人への関心は引いたようなので、何かしらの機会領域はあるんじゃないかとな思います。実際どうなんでしょう?その機会が本当にあるか、という検証の視点についてはまだまだ分からないことがあるので、今後も探求していきたいところです。
あと、セミナーの本題とはそれますが、同じグループの人は男性よりも女性が多くて、かつその人達の視点がどれも鋭いな〜と思えるものばかりだったので、深いインサイトを色々と見つけられたような気がします。よくメンバーは多様な構成でといわれていますが、ありがちなのが1チーム6人に女性が1人だけという構成だったりします。これではだめで、男女の数は同じくらいか、理想としては女性の方が多い方がよいんじゃないかと体験通して実感しました。ジェンダー差別をするつもりはないですが、少なくともこういう分野には、もっと女性がどんどん活躍していった方がいい結果を出せるんじゃないかなーと思います。