チャラ男と根回しオヤジの経営学:ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学

公開日: 2017年2月19日日曜日 ビジネス メソッド

もとはビジネス領域から無縁のところでやりたいから、絵を描くことを仕事にしたいと思うようになり、それでその流れでデザインの分野に行ったわけですが、いつの間にかこんなタイトルの本を読んでいて、家族に「何がしたいんだ」とか言われてます。よく分かります、正直どうなのかと自分でも思ってます。戦略を考えることに興味はあるんですが、別に経営とか組織とかには興味ないですし、性格的にも器的にも最も合わない領域です。でも、こういう分野から参考になる内容は多いので読んでみたわけです。著者の入山先生はウェブ等でよく見かけますが、いつも分かりやすいなと思っていたのも背中を押す要因になっています。



ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学
入山章栄
2015年11月

本書は全26章にわたる内容ですが、その中で僕が面白いなと思った章を3つ紹介します。

第2章 「経営学は役に立たない」についての二つの誤解
第7章 「チャラ男」と「根回しオヤジ」こそが、最強のコンビである
第9章 「ブレスト」アイデア出しは、実は効率が悪い!

まず2章の「経営学は役に立たない」です。いきなりこんなこと言われると身も蓋もない感じに思えますが、そもそも経営学者は役に立ちたいと思っていない、研究するのは自身の好奇心、ということです。まあ、何となくわかる気がします、しますが、会社勤めをしている人にとってはそれでは困るとも思うわけで。。。その中でこれは知っておいてよかったと思うことが1つ。学術界での評価は論文重視で、そこでは科学的根拠や法則性の確かさを求められるので、ツールというのはその観点からみるとオマケみたいなものなんだと思います。でも企業側からするとすぐに使える「ツール」を求めがちですが、そのツールはそもそもそういった位置づけだということを理解しておくことはとても大事です。何故なら実態としてはツールを使いこなすのではなく振り回される人や状況の方が多いから。僕もツールやフレームワークは大好きですが、この罠に陥らないよう気を付けたいと思います。

次に7章の「チャラ男」&「根回しオヤジ」という本書のタイトルからはかけ離れたチャラい言葉が出てきます。これは、チャラ男=クリエイティブで、根回しオヤジ=イノベーティブ、ということです。。。と言われてもまだ意味不明ですが、まずクリエイティブとイノベーティブは違うと整理しています。クリエイティブな人(チャラ男)は面白いことを考えるけど、それを実現化する推進力を備えているとは限らない。そこで大事なのがつなげていく人(根回しオヤジ)で、これがイノベーティブだということです。日本ではこの2つを混同している傾向があります。そう考えてみると社内でも同じデザイナーの中にも「チャラ男」と「根回しオヤジ」の2タイプいますが、同じことを要求されていると、個人の強みを活かしきれていないのかもなと思いました。

ちなみにこの章でトランザクティブメモリーの話が出てきました。この言葉はWeb媒体の色々なところで目にすることができると思うので、気になる人は検索していただければと思いますが、僕はこの考え方の説明で出てくる『Who Knows What』はすごく大事だと思っています。つまり内容は知っていなくても、誰が何をやっているか知っていれば何かあれば聞けばよい、というゆるいつながりを持つことを意味しています。実際にそれでものごとがうまく動いた事例は多くあるので、これ何とか仕組みつくりたいな~と思いました。

最後の「ブレスト」は効率が悪い、ですが、これ実はデザイナーの中では共通認識になっていることだったりします。でも世の中の流れは、デザインシンキングでブレストで共創だ、ていうようなムードが強いので、この流れを何とかできないかとも思うわけです。書いていた中で面白いなと思ったのは、IDEOを研究対象として調べてみたら、彼らはうまく活用できていたということです。ということは、そこに集まる人の知識・スキル・組合せが大事なのであって、ブレストするときは人選など考えてやりましょう、ということが言えるかと思います。



と、いうように経営にまったく関係のない僕のような人間でも、勉強になることはいろいろとありましたので、タイトルにひるまらず気軽に手に取って読んでみることをお勧めします。学術的な難しい内容ではなく、今の企業の課題感が中心に説明されていて、共感できる点も多いと思いますし、日本人の視点で世界の動向を捉えて日本語で還元してくれるのは本当にありがたいことです。
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