カッコつけじゃないから本当にカッコいいデザイン:おまんのモノサシ持ちや!土佐の反骨デザイナー梅原真の流儀

公開日: 2017年3月28日火曜日 クリエイティブ デザイン ヒト

今回紹介する梅原さんはデザイナーだったらご存知の人も多いと思いますが、この本が出るまで、あまり雑誌などのメディアにも出てくる機会が少なく、かつトレンドを追うようなデザインではないスタイルなので、なかなか知ることができませんでした。なのでこの本は梅原さんの謎を解き明かした内容ともいえます。



おまんのモノサシ持ちや!土佐の反骨デザイナー梅原真の流儀
篠原匡 
日本経済新聞出版社(2010.06)

梅原さんは僕がかなり影響を受けたグラフィックデザイナーの1人ですが、何がすごいって、すごい美味しそうなデザインをするんです。スマートなデザインをつくるのは、デジタルツールが溢れた現代ではそれほど難しいことではない(ような気がします)が、人間の本能的な欲求に直結するデザインはそう簡単にはできない独特な表現力が必要です。

例外はありますが、梅原さんの基本的なスタンスは

・地元(高知)の仕事をする
・デザインの対象は一次産業が主

ということで、この姿勢自体がまず独特です。仕事に対する取組みについても、自分たちの足元を評価せずに都会の背中ばかりを追いかけることを嫌っています。自分の頭で考えて目の前にある良いものにしっかりと向き合う、という姿勢はただただ尊敬です。梅原さんが手がけた数々のデザインは、どれも生産者の想いがにじみ伝わってくるのは、そういったところから来ているのだと思います。

僕が特に興味を持った点は、梅原さんもクライアントとの対話を重視しているということです。人の話を聞いて生の情報や声を知る、足元を見ることでアイデンティティを突き詰めるそうです。最近、僕が影響を受けた人の取組み方について、聞いてみたり本で読んでみたところ、多くの人がクライアントとの対話を重視している傾向が見えてきました。優れたデザイナーはよい対話、特に聞きだす話し方が上手な人が多いのかもしれません。


一個人のデザインスタイルというのはありますが、デザイナーの主張だけが全面に出過ぎてしまうと、時として「ええ格好しい」な、スカしたデザインになってしまうことがあります。そうではなくて、100人のクライアントがいれば100通りのデザインの違いが出てくるべき、ということを大事に意識して取り組みたいものです。現場起点で何が大事かを見つけるというアプローチが、デザインならではともいえそうです。

あまり世の中の情報に流され過ぎてはいけないな、と自分への戒めになりました。
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