論理的に語るか/ストーリーで語るか:理科系の作文技術

公開日: 2017年4月8日土曜日 コミュニケーション メソッド リサーチ

最近、論文に近いものを書く機会があったのですが、ほぼすべてに赤入れされた状態で返ってきたときはさすがにショックを受けました…。丁度その時、たまたま同僚から本をおススメしてもらったので、もうちょっと上手に文章が書けるようになれればという動機でこの本を読んでみました。なるほどと思ったことも多くありましたが、一方で新たな疑問も浮かび上がりました。



理科系の作文技術
木下是雄
中公新書 1981.09

序文はイギリス元首相のチャーチルのメモという内容で始まります。ここでいきなり強く共感してしまいます。論文だけに限らず、国政を担う執務を遂行するために作文について本質をついたような指示が示されています。以下がその内容です。

・要点を短い歯切れのよいパラグラフにまとめろ
・要点の分析や統計は付録としろ
・見出しのメモや口頭で補った方がよいときもある
・一語で言い切れ、考慮すべき…などの使い方はやめろ
・パッと意味の通じる伝え方をしろ、くだけた言い方でも構わない

端的にまとめると『結局のところ何がいいたいの?』ということです。全体像が見えていないと、枝葉の説明になってしまい、相手が?となる状況、自分もよくやってしまいます。それを本書は下の様な項目で丁寧にわかりやすく教えてくれます。(この本自体が上手な作文の構成として勉強になります)

・準備作業
・文章の組立て
・パラグラフ
・文の構造と文章のながれ
・はっきりと言い切る姿勢
・事実と意見
・わかりやすく簡潔な表現

どれも大事ですが、1つパラグラフの項目について取り上げたいと思います。日本人の多くは『だいぶ続けて書いたからこの辺で区切ろうか』という考えでパラグラフを分ける傾向がありますが、これは間違い。ポイントは各パラグラフで主となるトピック・センテンスが1つあり、パラグラフ全体はそのトピックセンテンスを説明するための内容に終始すること、ということです。

このトピック・センテンスという概念、そういえば少し前に英語の勉強をしていたとき出てきました。リーディングの問題でトピックセンテンスを抑えておけば文章全体の主張が理解できるし問題も解きやすい、ということでしたが、僕はそれがどこにあるのかを探すのが難しく苦労しました(いまだに苦手)。きっと僕だけでなく、日本人にとってトピックセンテンスを意識した構成で文を考えることに、あまり慣れていないのではないでしょうか。



という感じの内容がどの項目にも書かれていて勉強になりました。がその一方で思ったことがあります。それは、ストーリーで伝えるときにはこの方法は当てはまるわけではないのでは?ということです。何故ならストーリーは最初に結論を語ってしまうと、その時点で物語の魅力がなくなってしまうからです。もちろん小説はストーリー形式で語っています。

小説や映画だけでなく、最近はストーリー形式で共感を伝えるプレゼンテーションも多く見られます。一方でもちろん結論を先に述べるプレゼンテーションはやっぱりわかりやすいので、どちらの方が良い悪いということではなくて、目的とか内容に応じて使いわけるべきなんだと思います。

で、僕の冒頭の話に戻ります。デザインの取組みは、割とストーリー形式で伝えた方が理解してもらえる傾向が強いと思っています。ですがそれを論文のようなモノで伝えようとしたとき、ストーリー形式では分かりにくい表現になってしまい、赤をたくさん入れられてしまう結果となります。どうやれば上手に伝えることができるのでしょう?誰かヒントを持っていたら教えてもらいたいものです。

ちなみにこの文章のパラグラフは適切だったのでしょうか?上達までの道のりはなかなか険しいですね。
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