デザイナーは相手からどう見られているか:中小企業のデザイン戦略

公開日: 2017年5月13日土曜日 コミュニケーション デザイン ビジネス

僕の同世代の知り合いには独立したデザイナー(会社化した人も含めて)が何人かいますが、みんな独自のネットワークをつくって仕事をつくっていて、すごいなあと思うわけですが、特に始めの頃って、見積や契約などをどうやっていたんだろう?デザインの仕事には明確な対価指標や作業フローが決まっているわけではないので、日ごろデザインに接していないような人に理解してもらうことは、結構難しいことなのではと考えます。




中小企業のデザイン戦略
木全賢・井上和世
PHPビジネス新書 2009.10


この本のタイトルからすると、企業の中でデザインをどう取り入れていくか、についての内容だと想像しますが、実はデザイナーがこれを読むと「中小企業の会社はデザイナーをどのように見ているか」を理解することができる本です。デザイナーの活動を相手側から捉えた本はあまりない気がするので、個人で取組もうと考えている人には役立つ内容じゃないかなと思います。

世の中には悪徳デザイナーがいる!ということを本書では割と強調しています。僕も一応デザイナーですが、周りに悪徳デザイナーがいるなんてことは考えたこともなかったです。(腕の良し悪しはあります。)でもデザインを依頼する側からは、こういった観点で見ている人もいるというのは、気づかなかった視点です。

そういった人の判断基準となる要素の1つは、相手と真摯に付き合ってくれるかということだそうです。クライアント側には「デザインのことはよく分からない」という考えを持っている人は多いと思いますが、大事なのはそのときに丸投げするのではなく、クライアントはプロジェクトを通じて積極的にデザインのことを知ろうと努力し、デザイナーもクライアントのことをよく知り、お互いを理解する姿勢が大事だと述べています。

そこで悪いデザイナーは、まだよくわかっていないその場で取り決めを急がせようとしたり、会話を重ねないで、デザイン案を出して終わりというスタンスを取る人ということです。いいかえると、自分の中で壁を立てて距離を取ろうとするスタンスで接すると「このデザイナーは誠実ではない」と思われる可能性があるともいえます。もっとも場合によっては近づきすぎないことで純粋なデザインを考えられる場合もあるので一概にはいえませんが、相手のことは気にしながら接し方を考えた方がよさそうです。



他には契約の仕方や見積の提示方法、クライアントに伝わりやすいデザインのプロセスや意識合わせの会話方法など、デザイナーにとっても依頼するクライアント側にとっても実用的なことが、ベーシックな内容ではあるけど丁寧に書かれています。独立していなくても、デザインの対価を考える上では、会社勤めのデザイナー人にとってもおススメの本です。

でも悪徳デザイナーってどんな人だろう。僕の周りにはいないはずですが...意識していないだけで、依頼する側から見たら案外たくさんいるのかもですね。
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