経験値→大局観→直感への道のり:直感力

公開日: 2017年5月19日金曜日 クリエイティブ ヒト

デザインの取組みは論理だけで組み立てられるものではないので、主観による感性だったりセンスだったり、あるいは直感といったものが大事になってきますが、それがただの『勘』であるか、それとも経験やスキルに基づいたも『感』なのかによって、信頼性はだいぶ変わります。直感の考えが信頼できるかできないかは理屈よりも実績が証明するものなので、将棋界の伝説である羽生さんの本を読んでみました。



直感力
羽生善治
PHP新書 2012.11


ご存知の通り羽生さんは将棋界で数々の記録を打ち破ってきた人ですが、自分の強みを一貫して守ってきた訳ではなく、常に新しいことに挑戦しながら、自身のスタイルを変えている人でもあります。10代の頃は計算力や記憶力で勝負していたけれど、経験を備えることによって大局観を捉えながら直感で切り開いて将棋を指す熟練者のスキルを備えていったようです。

そんな羽生さんが考える直観力は、僕が印象深かった点を箇条書きで書いていくと下のようになります。羽生さんが天才であることは間違いないですが、必ずしも生まれ持ったセンスだけではなく、一方で自身を成長させていくために、日々考えて努力している姿勢こそがプロだなと思いました。なので、デザイナーだから直感力が高いといったことはなく、日々考えながら取組んでいる人にだけ身につくものなのだと思います。

・直感は磨くことができる、そのためには現場感覚が大事
・無理せず力の入っていない自然な状態が直感を発揮できる
・先のことはわからないので受け入れやすい状態をつくっておくこと
・大変革はいらない、少しづつ合わせていく
・粘り強い人にチャンスはおとずれる(それはたまたまではない)


本書の始めのほうに「直感力とは論理的思考が瞬時に行われるようなもの」と書かれています。僕なりの感想をまとめると、経験値によって得られたスキルは0からの組み立てを行わなくてもかなり精度で見えてくる力、なのだと思いました。例えばそろばんをマスターした人が、そろばんを使わなくても難解な計算をすぐにはじき出す力のように。僕自身のことでいうと、モノのだいたいのサイズ感をあてたり、このブログに載せてるメモのように、適当に書きながらもまとまりよく収めるスキルなどが、直感力といえるのかな?と思います。

将棋やチェスのルーツは戦争の代替として出てきたもののようで、そこには戦略・戦術・意思決定・方針の見直しといったことが介在し、ビジネスのストラテジー考えるうえでも参考となる点は多くあります。将棋の世界であっても不確実性や合理的な判断だけではないという状況がある中、ビジネスの分野でも直感力というのは、より理解されるべきスキルではないかなということができそうです。


ところで僕は将棋が弱いです。大人になってから久しぶりに親戚とやったのですが、徹底的にやられてとて~も辛い気持ちになりました。で、たぶんこの辛い気持ちのときに、逃げず慌てずに大局観をもって打開策を考えていける、ということが実際のビジネスでも大事になってくるのかと思います。将棋をやるともうちょっと戦略的思考を身に着けることができるのかも?

だからといって僕に将棋を挑もうと思わないでください。(弱いから)


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