意思と主体性が未来をつくる:新たな事業機会を見つける「未来洞察」の教科書

公開日: 2017年5月23日火曜日 ソーシャル メソッド リサーチ

未来は予測できない

未来のことを考えるうえで大事な前提となります。これまで色々な未来の予測が発表されてきましたが、数十年前にピッタリと予測できた人はいないはずです。携帯電話がここまで普及したこと、社会情勢が世界的に不安定になっていること、ファッションやライフスタイルの変化など、1年先ならまだしも10年先になると予測の精度を高めることはまず不可能です。それは政府のロードマップや映画などを観ればよくわかります。

未来洞察やシナリオプランニングなどの手法はこの1年くらい、興味をもって勉強したり、仕事の中で関わるようになっていますが、今回は未来洞察に関する本を紹介します。



新たな事業機会を見つける「未来洞察」の教科書
日本総合研究所 未来デザイン・ラボ
KADOKAWA 2016.03


未来洞察とは何かを簡単に説明すると『現在起こっている社会の潮流から、今後変化の兆しになる情報を集めて、その中からいくつかの未来シナリオを組み立てていく』という手法です。基本的な思想や考え方はシナリオプランニングと共通しています。詳しい違いは前に紹介したInnovation Pathを読んでみてください。

この本は大きくプロセスの進め方と、実際に取組んだ企業の事例の2つで構成されています。内容を本当に理解するためには実践でやってみないとわからないものですが、はじめの方に書かれている、思考の構造の解説などはとても大事なところだと思います。プロセスに沿ってその通りにやれば自動的にできるものではなく、事実と不確実性を共存させたうえで仮説を組み立てていく、という結構難しい思考スキルが必要があるからです。





冒頭の「未来は予測できない」に話が戻ります。例えば、スマートフォンは正当な技術変化で自然と出てきたものではなく、アップルのスティーブ・ジョブスという1人の強い意志と実行力で世界を変えていきました。こういったことから分かるのは、どんな未来が切り開くかは、1人の存在だけでも大きく変わってくるということです。それが世界規模で起こっていたら、何が確実な未来であるかを計算することは不可能です。(ただし高齢化現象などの確実性の高い予兆から、ある程度の手堅い変化の兆しを推察することは可能です)

なので大事なことは、いろんな未来が考えられるけど、自分はどの方向に進んでいきたいかという主体性と意思です。でもその一方で、社会情勢の流れを汲んで精度を高めるための事実を把握する客観性や論理性も備える必要があります。この2つを操るスキルはトレーニングをしないとできないものだと思うので、準備なしにみんなで集まればいい未来が描けるものではないと考えます。

何だか堅苦しい内容になってしまいましたが、未来を考えるのはそんな簡単なことではないし、手法に頼ってばかりでは未来は見えてこない、というのが言いたいことでした。

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