スパイ的リサーチ:CIA諜報員が駆使するテクニックはビジネスに応用できる

公開日: 2017年6月20日火曜日 コミュニケーション リサーチ

この前はFBIで今回はCIAと、怪しい方向まっしぐらに進んでます。読もうと思ったきっかけは...2割がリサーチスキルに役立てるかということで、後の8割は純粋に好奇心...。(映画はサスペンスとかスパイものとかばっかり観てます)でも読んでみて、潜入捜査をするような特殊な任務でなく、普通に人と人とのやりとりで情報を取り扱うテクニックとして、なるほどと思うことがたくさんあったので取り上げます。



CIA諜報員が駆使するテクニックはビジネスに応用できる
J.C.カールソン (著), 佐藤 優 (解説), 夏目 大 (翻訳)
東洋経済新報社 2014.06

解説で、元外務省の佐藤優さんが分かりやすく、諜報員(本書では諜報員とスパイの意味合いを分けています)とは何をしているのかを説明していますが、諜報員が情報を得る方法を大きく4つに分類しています。

・ビジント(ビジュアル=画像や映像で情報を得る)
・シギント(シグナル=通信傍受で情報を得る)
・オシント(オープン・ソース=新聞やニュースなど公的な情報を分析する)
・ヒュミント(ヒューマン=人から情報を得る)

この本のメインはヒュミント(←業界用語をあたかも普通に使っている自分に酔っている)ですが、池上彰さんの本かネット記事かで、オシント(←これも)も重要だと書いてあった記憶があります。情報を扱うプロの人たちの情報源のほとんどは、実は新聞や政府発表などの誰にでも入手できるものなんだとか。ソースや根拠の怪しい情報に惑わされず、信頼性の高い情報を見分けて、その背景や意図を読み取る分析ができれば、鋭いレポートができるのだそうです。これはデスクリサーチをする際に大事なポイントだと思いますし、既にあるものを見返すことで主要な情報をカバーできた、なんていう経験が確かに何回かありました。

で本題のヒュミント(諜報員の醍醐味?)のテクニックですが、意外にも僕らが日常的に人と接することと特別大きな違いはない、というのが印象です。ただ、その内容を読んでみて納得できることが多く、意味を知ったうえで行動することで、少し違う結果をもたらすことができそうです。例えば12の倫理規定の中には『誠実で信頼できる人という評価を受けることを大事にする』という項目がありますが、人は信頼できない人に対しては警戒するので、ウソをつかないことや、表裏があるそぶりを見せない人柄であることが、最終的にはよい情報を集められるということです。なるほど。

でも、いくつかは、その発想はなかったとか、ちょっとドキッとする視点もあって面白かったです。個人的にグッときたものをいくつか紹介します。

・まず自分から話して情報を与え警戒を解き、徐々に話題を移していく
・直感を信じる(何か変だと思ったら気づかれないよう逃げる)
・相手の弱点を認識して、意図的・計画的にそこをつく
・ウソをつくべきとそうでないときを見極める
・リーダーが交代したときに起こる「さざ波」に付け入る
・最初の会合の目的は「2度目の会合」を目指すこと
・話すときは神経質なくらい相手の反応に注意して、必要なら話題を変える
・敵味方は変わりうるので競争相手にも誠意と礼節を忘れない
・性悪説で人を見る(裏切られてもそんなものだと思うこと)
・敵側でなく中立地帯で顔を合わせる

どれも諜報員っぽくてグッときます。弱みに注目するなんていうのは、相当敵意を持ってない限りやらないですが(誠実なお付き合いをさせていただいているつもりです)、ビジネスと意識して動くうえでは大事なことだったりするんでしょうね。相手の反応に注意するというのは前のFBIの本でもありましたが、相手が言葉を発さなくても表情や仕草で情報を得ることはできるので、あまり話すことばかりに夢中にならないように気を付けるべきですね。だからといって顔色ばかり見て態度をコロコロ変えないように意識しないともいけないから、難しい。。。




僕も一応、デザインリサーチとして情報を取り扱うことをやっていますが、定性的な情報はいかに鋭い切り口と質を高めるかが大事でなので、そのためにはどれだけいい人に出会えるか?は、かなり重要な要素です。(事によってはそれでほとんど成功するかが決まるときもある)リサーチというと裏方のイメージが強いですが、実際には表に出たときのその人の印象が大事だということに気が付きました。

なので、これからはいい人と思われるよう、誠実さを心掛けようと思います。
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