創造性と生産性のあいだ:生産性

公開日: 2017年8月24日木曜日 ビジネス メソッド

僕は一応クリエイティブ側の人ですが、わりとせっかちであいまいな状態が苦手な性格なので、生産性という言葉を割と気にするほうです。ですが、創造性を大事にする多くのクリエイティブ側の人にとって、生産性という言葉は創造性と相反するような印象も受けるので、クリエイティブ側の人が生産性を意識することは有効なのかどうか?について考えながら本を読んでみました。



生産性
伊賀泰代
ダイヤモンド社 2016.11

本書は考え方を整理するのに役立つことがたくさん書かれています。文章の組み立てがとても整理されているので分かりやすい内容です。例えば生産性を上げることを考えたとき、それが削減なのか拡大の方向なのか、あるいは改善なのか革新なのかで、対象となる人や取り組み方も大きく変わるし、影響度も違ってくるという説明が書かれてあり、ニュースで語られるような生産性って削減で改善の話がほとんどだけど、そうじゃない生産性の高め方もあるよなー、と納得していまいました。

他にも、資料をつくるときは、始めにブランク資料をつくり(虫食い問題みたいなもの)アウトプットイメージを持ったうえで埋めていく作業を推奨していました。僕はブランク資料よりはもっとおおざっぱな描き方ですが、絵コンテ的に手書きをしてアウトプットイメージをつくるほうです。資料づくりに時間をかけるのは本質でないと思ってるので、なるべく考えを整理することに時間をかけた方が資料のクオリティも高まるのかなと考えています。これはクリエイティブ側で得意な人も多いのではないでしょうか。


ただ一つ、考えさせられる内容もありました。生産性が高い人は必要十分なレベルに到達する時間(あるいは密度)がそうでない人と違うということが書かれており、これ自体はそうだと思いました。僕自身、80:20のパレートの法則が大好きで、いつも20で全体の80をできるようにすることをよく考えます。それによって効率よくできてると思うことはあるんですが、一方で80から100に近づけるのはデザイナーの中でもヘタだと自覚してます。(これはこれで大問題なのだけど)ですが、クリエイティブの仕事は最後の1点を高めるためのクオリティに力を注ぐことも大事だと思ってるので、必要十分なレベルとはあくまで水準であって、創造性の評価基準ではないことははき違えないようにしなければと思います。

生産性はとても大切な考えですが、全体感やマネジメント視点で使われている言葉なんだな、と改めて思いました。一方、創造性はアウトプットやクオリティに関する現場視点で使われるので、生産性と創造性は相反するものでなく、そもそも見ているレイヤーが違うんだというのが、この本を読んで感じた気づきでした。なので位置づけをよく理解していれば、生産性が高く創造性が発揮された仕事をすることは可能なんだと思います。
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