Forever Young(の気持ちを大事に):インターネットの次に来るもの

公開日: 2017年8月23日水曜日 ソーシャル テクノロジー

WIREDの元編集長、ケヴィン・ケリーが書いたというだけで、とても影響力のある本です。実は僕は2016年の秋くらいに、彼が来日したときの講演を聞きにいってます。ですがその時は正直あまりピンとこなかったので本を手に取ることはなかったのですが、その後、セミナーやネット記事であまりに多くの人がこの本を推薦していたので、重い腰を上げて読んでみました。で、読んでみて「あのときすぐに読んでも印象に残らなかっただろうけど、今読んだことで深さがわかった」という感想を持ちました。要は一年前の僕はまだ世の中の捉え方が浅かっただけなのかもしれません。



インターネットの次に来るもの 未来を決める12の法則
ケヴィン・ケリー (著), 服部 桂 (翻訳)
NHK出版 (2016/7/27)

本書の構成は12の動詞で構成されています。いま起こっていることは単純に分野でカテゴリできるものではなく世の中の現象として現在進行形で動いていることなので、動詞の単語が使われすべてingがついています。一単語だけを見ると一般論的になりがちなので、日本語での解説をつけてみました。動詞の意味はこんな感じになるかと思います。

1.BECOMING(新しい概念が当たり前になっていく)
2.COGNIFYING(世の中のXを認知していってる)
3.FLOWING(モノもサービスも流動的になっている)
4.SCREENING(あらゆるものがスクリーンになっている)
5.ACCESSING(所有よりアクセスできることが重要になっている)
6.SHARING(シェアしあい、協力し合い、コラボしあっている)
7.FILTERING(フィルタによって自分がカタチづくられていく)
8.REMIXING(リミックスされ資源が再編集されていく)
9.INTERACTING(何でもインタラクティブになっている)
10.TRACKING(ライフログはまずます増え続けている)
11.QUESTIONING(問いを発することが重要になっている)
12.BEGINNING(より〇〇する現象が始まっていく)

個人的になるほどと思ったのは2と5と9です。2.COGNIFYINGはAIやビッグデータなどが強く関わります。これまでデータ化の対象と思われていなかったモノや現象を認知することで、オートメーション化したり新しいサービスを生み出す可能性を備えているという考え方は、人にとって脅威である一方、ビジネスチャンスがあるといえます。5.ACCESSINGはシェアリングエコノミーが起因しており、どれだけ多くアクセスして活用できるかが今の時代の資産の図り方であるともいえます。9はAIやブロックチェーンに関わるキーワードで、インタラクションすればするほど情報の精度が高まり意味性を備え、セキュリティやリアリティに関係してくるという考え方です。

僕は10代後半から20代のうちにITが浸透してきて、何とか時代の変化に対応してきた世代です。きっと今の10代はこの12の考えが当たり前になっているんだろうなと思うと、なんともすごいことですが、多感な時期に前後を経験したというのも1つの強みであるかなと思います。というのは、この12の新しい現象が全てにおいて万能なわけではなく、例えばシェアリングしすぎることでモノを長く大事に扱う文化やサービスを使えない人との格差など、新しい問題も出てきた場合、それと異なる価値観を知っておくことによって、さらにその先に何が来るかを見る目が持てるようになれるのではないかと考えるからです。



正直、今の時代はついていくだけでも大変ですが、ケヴィン・ケリーさんはたぶん半世紀近く世の中の変化をずっと感じ取り、それを取り入れているかと思うとすごい人です。SnapchatやPokemonGoが出たときもいち早く使ったそうですが、僕はどっちともほとんど触ってないので、完全に負けてます。10年後くらいにこういった本が出たときにまったく理解できなくなっていないよう、もうちょっと今の時代に食らいついておこうと思います。
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