人工知能と向き合うために知る:人工知能は人間を超えるか

公開日: 2017年8月22日火曜日 テクノロジー

割合は依然として低いですが、がんばって技術系の読書です。この本はAIの解説本としてすこぶる評判がよく、ここで載せている画像は違いますが、表紙がアニメ「イブの時間」のイラストであるのも気になる要因でした。(アニメは機械的な感じはなく、むしろ雰囲気重視的な内容で、ぼーっとしながら心地よく観られる映画です)これを読んで(いまさらですが)やっと人工知能って何のことかが分かりました。基礎をしっかりと抑えたい人にとっては外せない一冊です。



人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの
松尾 豊
KADOKAWA (2015/3/10)

本書は時間軸で4つの段階でAIがどう進化してブームを起こしていったかを、技術系の人でなくてもわかりやすく理解できるよう解説しています。4つは次のようになっています。

第1次ブーム:推論・探索
第2次ブーム:知識
第3次ブーム1:機械学習
第3次ブーム2:ディープラーニング

まず第1次の推論・探索は、迷路を攻略するようなルールと選択肢がある分野において進化したという時代で、決められたルール前提のゲームは得意でした。次に知識が進化した第2次ブームが起こります。ここではクイズに答えるというような分野に注目が集まりましたが、でも機械は答えることができても意味を理解していなかったり知識を入力するのは大変ということでブームは静まります。大きく分けるとここまでがIT普及前のAIです。

そして2010年頃から第3次ブームが起こります。まずはじめに機械学習が進化します。意味性を理解するために「分ける」という考え方が出てきます。例えば手書きの数字の精度を高めるためには、1は〇%、2は〇%とそれぞれに重みづけを与えて、一番高いものを相対的に判断して導き出すというプロトコルによって知能レベルは向上します。さらにその後、ディープラーニングという考え方によって、認識率や導き出し方を飛躍的に高めることができるようになったということです。


著者はディープラーニングの発見をとても革新的なことだと絶賛しています。僕はまだよく理解はできていないのですが、何がすごいかというと、入力と出力の関係だけを見るのではなく、いくつかの入力と出力の間に隠れているパターンや新しい概念を見つけることによって、精度や意味性を高めることができるようにしているということです。おそらく考え方としてはリバースエンジニアリングに通ずるものがあるのではないかと思います。また、この処理にノイズを入れることで異質性や違う視点を得ることができるようになるそうで、将棋の差し手が強くなれたのはきっとこの仕組みに理由があるのだと思います。

こういう過程を理解しておくことで、AIといった漠然としたすごい技術との距離感を近づけることができるようになれました。シンギュラリティの観点で、AIが人の雇用を奪うといったことや、AIが暴走して人間を支配するようになるといった論争がされていますが、まず自分自身が0-1で決めつけるのではなく、それぞれにこういったことが考えられる、という視点を持つことが大事だと思います。21世紀の技術は難しいものばかりなので、つい誰かの意見(時には極端な持論)に左右されてしまいがちですが、こういった本があることによって自分なりの意見を持つことができるようになれます。

もっと積極的に技術を知っておこうと思いました。分かりやすい本を読んで。
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