結果でなくプロセスを見る:決断の本質

公開日: 2017年9月22日金曜日 コミュニケーション ビジネス

僕自身がビジネス上で何か大きなことを決める機会はまだそう多くはないですが、年々、決めることの大切さと難しさを実感するようにはなってきました。最近はデザインのストラテジーをつくっていく取組みが増えてきましたが、当然、戦略にはリスクや責任がついてまわるので(戦争で戦略を間違えると大勢の死者を出すことになる)決めることのスキルは戦略を考えるのと同じくらい大切になると思い、この本を読んでみました。



決断の本質
マイケル・A・ロベルト
英治出版(2006.07)

正しい決断は何かというのはよく分からないけど、ダメな決め方の状況を考えてみるとイメージしやすいです。下のメモでもまとめて書いていますが、例えば、誰も質問しない、反対意見を無視する、会議で決まったあとに裏でくつがえす、とりあえず(保身の為に)否定するなど。そういった状況はどこの会社でもよく見られる光景だと思いますが、じゃあ自分は違うのかというと、反対意見を積極的に取り入れる器の大きさを持てているかどうかは疑問です。

(自分のことはおいといて)注目したいのは、は上に書いていることは内容ではなくてプロセスの話です。つまり選択肢AかBかの内容もあるけど、どうやってAにいったか、あるいはBに変えたのか、といった過程を見極めることも大切になります。本書がどうしてプロセスに着目しているかというと、内容や結果に対しては後から正当性を裏付けることはいくらでもできるけど、決める判断軸は毎回違うので測定や分析が難しいのに対して、プロセスはその過程や後で振り返ることで学習することができるから、というのが大きな理由です。

どんな偉人でも決断を失敗することは一度はあるけれど、経験値を高めることで決断が成功する確率を高めることはできます。逆にいつまでたっても決断の成功確率が高まらないのは、たまたまその領域に精通していたからか、勘で判断しているだけということになります。なので目先の成功/失敗ばかりに捉われて決断の評価をすると本質を見失いがちになります。これも多くの会社がやってしまう傾向だと思うので気を付けたいところです。

意思決定するプロセスは次の4つのCに分類されます。

・Composition:メンバー構成、誰を関与させるか
・Context:背景の設定、どんな状況で決めるか
・Communication:参加者間の対話手段はどんなスタイルか
・Control:プロセスと内容をどのように管理するか

言われるとまあそうだよなと思いつつも、実際にこの4つをしっかり抑えた打合せでの意思決定を見たことがあるかというと、たぶんないよな~と思いました。それだけ難しいことなんだと思いますが、この中で僕が特に意識したいことはContextです。というのは、よく客観的ではない認識のもとで何かを考えて決めてしまう状況が多くあるよなあ、と感じたからです。本の中にでてくる一文ですが「現実を直視してありのままに見よ、こうであってほしいという目で見てはいけない」という言葉は強烈です。特にデザインに関する取組みをしていると「絶対〇〇だと思う」という会話がよく出てきますが、本当に絶対なのか?(なのになぜ言い切らずに「思う」と付け足すのか)都合のよい解釈をしていないか?という状況はよくありますし、僕自身もそんな話し方をしている気がします。(一方で主観が強くないとデザインはできないとも思いますが)



一方で自分にとっての強みもあると感じました。デザイン思考をベースにした共創ワークショップにはいろいろと課題は感じていますが、僕自身がいくつか共創の経験をしたことによって、4つの?に関与した取組みをしていたと思います。例えば、Compositionでは誰を巻き込み意思決定にどの層を関与させるかといったことや、Communicatioでは対話によって納得解を見つけていくということをしていますが、これらは意思決定にとってよいプロセスを踏んでいることを再認識しました。

この本を読んだからといって、明日からたくさん決断をする場面が出てくるわけではないので、正直まだあまり実感はありませんが、決めていくプロセスを常に意識しておくことは大事なことだと思いました。特に、ストラテジーを組み立てていくときには不確実性の高いものを取り扱うため、内容に対してGo/No Goの意思決定が強く関わってきます。結果が思わしくなかったときやメンバーが決断に納得していなかったとき、何がネックになっていたのかにアンテナを張って、少しでも確率を高めるためのプロセスを踏めるようになりたいと思います。
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