日本の強みを再認識しよう:グローバルマネジメント・LEAP~二律背反

公開日: 2017年9月20日水曜日 ビジネス

一橋大学・名和先生のセミナーを受けてきましたので、概要と感想を中心に書きます。セミナーの概要はこちらに記載されているものを引用します。

DMNワークショップ<leap二律背反を超克してグローバル成長企業へ跳躍するワークショップ>

クオリティ企業が持つ粘着性という静的特性とオポチュニティ企業が持つ変容性という動的特性の二律背反を乗り越え、グローバル成長企業に跳躍するワークショップ。国内外で成長する企業の事例を取り上げ、その背後にあるパターンなビジネスモデルなどを探ります。

セミナーの内容は大きく3つありましたので、それぞれ簡単に書きます。

①X経営

よくいわれていることですが、日本は欧米諸国に比べて現場(ボトム)が強いけど、経営層(トップ)は弱いとされています。日本の会社を調べたところ、やっぱりほとんどの会社がその方程式に当てはまったそうですが、トップとボトムの間をつなぐもう一つのミドルを加えてみると、日本ではボトムとミドルの2つを兼ね備えている会社が強いということが見えてきたそうです。会社名をあげると、KEYENCE、unicharm、日東電工、SHIMANO、無印良品など。

メディアで注目を集めるのはトップが強い会社ですが、上が重い構図はトップに依存する体制となってしまうのでリスクが高い状態であるということです。アメリカはアマゾンやテスラなどトップ主導の会社が多い印象がありますが、日本ではどちらかというと、一見めだたないけど実はすごいという会社が、根強い力を持っている気がします。

名和先生が強調していたのは、ボトムの力をどうミドル(事業モデル構築力×市場開拓力)につなげるかということで、それをトップに頼るのではなく、ボトムの現場の動きが大事だということです。ですが注意すべきなのは、オープンイノベーションやデザイン思考などの取組をするときにも外にばかり求めるのではなく、ボトムにある自社の強みは何なのかを改めて見つめなおすことが大事だということでした。



②J-CSV

CSVはCreating Shared Valueの略で、数年前にマイケル・ポーターが新しく提唱した理論です。簡単にいうと経済価値と社会価値を両立させたビジネスをする取組みで、ボランティア的なCSRではなくビジネスにするということですが、そもそもマイケル・ポーターはアメリカが生んだ経済学の申し子、実情は経済価値の方が強くなっているそうです。

その中で日本は社会に対する意識がもとからある稀有な国であるということです。上にあげた無印良品もしかり、金がすべてという価値観をもつ会社は少数だと思います。いま世界が社会課題に注目しているなか、日本が昔からもっていた考え方をビジネスに生かしていくというのは、強みでもあり機会領域であるともいえます。そういった意味で日本特有のCSVをつくることが大事です。



③LEAP~二律背反

LEAPは①のX経営をグローバル成長企業にフォーカスして分析したモデルです。成長する企業には大きく2つの観点があるそうです。それは

・Quality企業:品質を大事にする会社、日本に多い(トヨタなど)
・Opportunity企業:市場機会にうまく参入する会社(楽天など)

ということですが、この2つ両方を兼ね備えている会社が強いということです。そしてその評価指標を4つに分けており、4x2の組合せで見ていくのがLEAP・二律背反を超えたグローバル企業であるということです。なかなか複雑なので十分な理解はできていないのですが、例をあげると、appleやGoogle、STARBACKS、uniqloなどの今を代表する会社が当てはまるそうです。

日本はアメリカやヨーロッパの新しい取組みについつい目が奪われ、取り入れていこうとする傾向があります。その取り入れられるスキルも日本特有であるといえますが、完全に模倣するのではなく、自国のテイストにうまくアレンジをしたり、足元にある自国の良さを見つめなおしてみることが、グローバルに向けてビジネスをしていくうえで大切であることが分かりました。

名和先生はセミナーの最中にマイケル・ポーターのことを、色々面白おかしくディスっていました。嫌~な笑い方するんだよなーとかw。長い知り合いだそうなので、そういったことも言えるのだとは思いますが、まあそういう人なんだな~、と面白おかしく聞くことができましたし、やっぱ人となりを聞いても、日本型の経営学の方が道を見失わずに学ぶことができるんだろうな~と、日本人として思った次第です。世界で戦うためにはまず自分の足元を見つめることが大事ですね。
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