アイデアの話ではなくビジネスの話の0-1:ZERO to ONE

公開日: 2017年10月26日木曜日 ビジネス

0-1をつくるというテーマの本はいくつかありますが、Paypalなど、21世紀に入ってから世界規模で0-1を創り出した人の1人である著者の本を読んでみて、0-1をビジネスで実践するということは、理論だけではなく、どれほど大変で、そういった人たちは何を重視しているのか?という視点で興味をもって読んでみました。



ZERO to ONE
ピーター・ディール ブレイク・マスターズ
NHK出版 2014.09

結論から述べると、正直、世界を代表する起業家としてのメッセージは、いち会社員の僕にとっては距離がありすぎて、たぶん書かれていることの深い意図はぜんぜん読み取れていないと思い、そこを解説するのはあきらめました。いつか起業しようと思うときがきたら読み返します。その代わり、本の中で出てくる図はとても参考になりますので、いくつか紹介します。



●0-1と1-n
本書の中で示されていた図がとても分かりやすかったのですが(下にメモで描いています)ビジネスの性質を2軸で分けて、縦を0-1、横を1-nとした整理の考え方が紹介されています。

・縦0-1:垂直的で集中的、テクノロジー、
・横1-n:水平的で拡張的、グローバリゼーション

これは端的に、ビジネスが他を牽引する力を伸ばすものなのか、幅広く広がるものなのかを0-1と1-Nに当てはめているものです。言葉で定義しているものはいくつか見聞きしたことがありますが、図にすると解釈のズレがない伝え方ができるので、この図は活用できるなと思いました。

●行きつく先は
次にテクノロジーとグローバリゼーションの向かう先を、供給と需要の視点から4象限で整理した図があります。最近の関心の1つとしてAIが進化するとどうなるか、ということに対して、グローバリゼーションでは供給はフラット化して(コピー可能なアウトプットが世界中に量産される)、需要としては横並びの競争が激化します(各社同じ技術を持っているので差別化が図りにくい)。一方でテクノロジーでは供給はほぼ補完され、需要は『人間』に向くととされています。ここがたぶんポイントで、AI技術が進化すればするほど、人でしかできないことの価値がより高まるということです。今でもクリエイティブ力とか大局観とかは機械では置き換えにくい能力として注目されていますが、今後はもっと人間の根源的なところに着目したサービスやビジネスがでてくるのではないでしょうか。

●組織の熱狂状態度合
最高のスタートアップ企業は少しマイルドなカルト組織だということです。これは、ドライな組織風土のコンサルではないけど、完全なカルトではない(会社を家族とみなしたり、社会の非常識や反モラルを指針におく企業はカルト)、その一歩手前の程よい熱狂的な状態がいいという位置づけです。僕が思うに、この位置づけは会社の社員数と強く関係してくるのではないでしょうか。1人だと自分だけの世界になり自ずと限りなくカルトに近くなりますが、人が多くなるにつれて色んな意見をとりいれるうちに冷静になり主体性は弱まってくる、その行きつく先が大企業病だったりします。なので人が増えてスケールしていく段階でも適度なカルト性を持ち続けるための文化を持ち続けている会社が強い会社といえます。そこそこ大きくなってもエッジが立っている会社たまにありますね。代表例がappleかと思います。

本書はこれ以外にも、投資の視点から見たときの判断視点や誤解、中長期的に見たときの成長カーブ、地域別で見たときのマインドと投資割合、エンジニアだけでなくセールスパーソンの重要さなど、多角的な視点から0-1のポイントを取り上げていて、起業家だからこそこれらすべてを理解して包括して語れる内容なのだと思います。が、僕にはまだわからないことが多かったので、「本書の一番のポイントはそこじゃなくてこれ!」という意見がありましたらぜひ教えてください。

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