数億年前にもシンギュラリティがあった:眼の誕生

公開日: 2017年11月23日木曜日 テクノロジー

前に紹介した『シンギュラリティは近い』は、いま私たちは大きな変革期のなかで暮らしていて数年後には急激な進化が起こるだろう、という衝撃の内容でした。今回の本もある意味では似たようなお話しですが、違うのは、時代設定が5.5億年間前のカンブリア紀であることです。



眼の誕生
アンドリュー・パーカー
草思社 2006.03

著者は生物学者で、太古の生物の進化を研究していた人です。本書では専門家でなくてもなるべくわかりやすく読めるような構成にした、とのことですが、いやこれ、難しいじゃん(笑)。きっと本人や関係者にとっては相当かみくだいた内容なんでしょうが。でも謎を少しづつ解き明かしてくような展開は、探検者のような気質の人にはワクワクするかもしれません。

僕は短時間で読みたい短気な人間なので、全部を細かく読むことはできていません。パッと結論だけを知りたい人は、本書の9章と10章だけを読むことをお勧めします。(たぶん全体の5%もないページ数)それで主題となる主張は理解できるのではないかと思います。
それを要約したのが下に書いたメモです。

簡単に要約します。カンブリア紀以前にも生物は存在していましたが、その頃の生物は視覚機能を持っていなかったということです。(もっていたとしてもモヤモヤの状態)それがあるときを境に、三葉虫などの生物が眼を持ったことで、食べられる物を見つけることが容易になり、圧倒的な優位性を持つようになりました。それに影響を受けた他の生物は、同じように目を持つか、食べられないように擬態を身に着けたり、甲殻やトゲなどで身を守るなどの耐性を身に着けていきました。そのようにして、生物が一気に進化を遂げたということです。で、それが起こった理由は、この時期に日光の量が増えて、海の中にも光が届くようになり、眼の機能が発達したから、ということです。



なるほど、面白いな~と思いましたが、生物の感想文を書くのがこのブログの目的ではないので、ここではシンギュラリティの話と重ねた考察をしてみます。カンブリア紀以前(生物の起源がどのくらい前なのか知りませんが)の視覚機能を持たない数億年に対して、この時期を境に生物としての進化のスピードが急速な進んでいます。そして後に人類が誕生するわけですが、この成長をグラフに書くと、おそらく指数関数的な線になります。それで境界を超えたところの交差点がカンブリア紀になります。

なので、おそらく眼を持つことによるシンギュラリティがカンブリア紀に起こりましたが、現代は知能に対するシンギュラリティが起き始めていると整理すると、現代とカンブリア紀には共通点があるといえます。スケールやインパクトの大きさを、歴史から学ぶという視点で、現代起こっていることの現象を俯瞰的に捉えることで、未来に対する考えの精度を少しは高めることができるのではないかと思いました。

人工知能を持つ前と持つ前で、カンブリア紀の爆発的なインパクトが同じように起こるとしたら、「シンギュラリティは近い」で書かれていた、人間の思考は物質から解放される、のようなことが少しは理解できるかも?(僕はまだわかりませんが)
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