データ=ユーザーの気持ち:データドリブンマーケティング

公開日: 2017年12月17日日曜日 マーケティング リサーチ

今年に入ってから、デジマケ(デジタルマーケティング)という言葉を聞く機会が増えてきました。そうしていたら仕事でも少し関わってくるようになったので、ちゃんと知っておかないといけないな、ということで勉強してみることにしました。



データドリブンマーケティング
マーク・ジェフリー
ダイヤモンド社 2017.04

僕自身は、効果測定を行うマーケティングに関わった経験がほとんどないから、読んでみても内容は正直あまり頭にはいらなかったので、とりあえずノートにメモをとったというくらいですが、データをとって数値化しない測定(つまり勘で判断)は今の時代ありえないので、担当部門がどういうことをKPIとして判断しているか、を知っておくために必要な視点だと思いました。本書では15の代表的な指標それぞれについて解説していますが、大きくは前半10がネット以前から取組んでいたこと、後半の5はネットによって新しくできるようになったデジタルマーケティングの領域です。

伝統的なマーケティング指標
①ブランド認知率:カテゴリーで最初に思いつく商品/会社の割合
②試乗:お試しで参加してくれた人数
③解約/離反率:中止する人の割合(30日/90日/1年で測定)
④顧客満足度:ファンになってくれるか1~10でスコアリング
⑤オファー応諾率:メールやハガキなどの送付数÷応諾数
⑥利益:プロモーション効果と利益率を混在しないこと
⑦NVP:正味現在価値=現在価値-費用
⑧IRR:キャンペーンや施策を実施するときの投資利回り
⑨投資回収期間:使ったお金と同じ額を稼ぐまでの期間
⑩顧客生涯価値:DM送付、リピートなど期ごとの利益を算出

デジタルのマーケティング指標
⑪クリック単価:広告のクリック単価(Googleの仕組み)
⑫TCR:広告クリックから商品を購入した割合
⑬ROAS:広告費用対効果=収益÷費用
⑭直帰率:5秒未満で離脱するユーザーの割合
⑮WOM:ネット上の口コミ増幅係数

①~⑩のうちのいくつかは聞いたことがある言葉ですが、全体を捉えたとき、顧客との関係をタイムラインで測定しているということに気づきました。DMハガキや試乗キャンペーンなどでファーストコンタクトを取ったとき、購入や使用をしてくれたとき、その後に使い続けてリピートしてくれたり、他の人に勧めてくれたり、といった各ステージ毎でデータを取って測定できるかどうかによって、マーケティングの精度を高めることができるということなんだと思います。

ですが、毎回DMを送り続けられるのはさすがにうざいので、顧客が意識しない中でデータを取れるようになるための方法がデジタルの1つの特徴です。他にもデジタルの特徴として、コストをかけずに圧倒的な数の顧客にリーチできたり、細かいプロセス毎のデータが取れたり(⑭の直帰率はデジタルだからこそ取れるデータ)、レスポンス率が高めることができたり、といった利点があげられます。



この本は15の指標でデータを取ることの大切さが書かれていますが、WhatやHowを紹介しているだけではなく、何のためにデータを取るのかというWhyもちゃんと述べています。メモの左下のピラミッドが全体像を示していますが、顧客とサービスを結び付ける要素は色々あって、直接的(で短期的)なメリットもあれば、長く関係性を構築するための取組みや、それを実現するための社内組織に目を向けることも大切とされています。

このことはユーザー体験がサービス提供価値にどう関係していくかを示すうえで大切な視点です。一次的な数の大小だけで効果を測定するのではなく、タイムラインと推移の関係性と割合で見ていくことで本質的な測定が行えるのだと思い、デザインの領域でもデータとどう付き合っていくことができるかを考えるきっかけを与えてくれる内容でした。今はまだきっかけとしての理解レベルなので、これをどう実行に移していくかを考えないと、ただの空論で終わってしまいそうだけど。

ちなみにこの文章では、顧客とユーザーの言葉が入り混じってますが、ここでは顧客はマーケティングとしての用語として捉え、ユーザーはデザインとしての用語として、使い分けをしています。(英語にすると顧客はカスタマーなので、正しくはユーザーとは意味が違うと思いますが)
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