Freeという意味:限界費用ゼロ社会済の台頭

公開日: 2017年12月23日土曜日 ソーシャル テクノロジー ビジネス

前に一橋大学の藤川先生がセミナーで紹介していた本、やっと読むことができました。この本のオリジナル(英語)は2014年なので3年遅れです。きっと2014年に読んでいたら、かつ自分の理解力が備わっていたら衝撃なんだろうなと思います。こういった内容のものはすぐに情報をキャッチアップしておかないとダメですね。



限界費用ゼロ社会済の台頭<モノのインターネット>と共有型経済の台頭
ジェレミー・リフキン (著),柴田 裕之 (翻訳)
NHK出版 2015.10

大きな流れで本書の全体像を要約すると、時代を3つに分けて捉えます。

・~19世紀:国による管轄
・~20世紀:市場資本主義
・21世紀~:協働型コモンズ

例えば土地や産業などは昔は国営として行われていたものが、資本主義が浸透してからは民間企業が関わるようになって、それが今、シェアリングエコノミーに代表される共有型の時代に変わってきているということです。

この中で視点が面白いなと思ったことが2つあります。1つ目は、人間生活のあらゆる面を経済の舞台にあげるための装置が市場資本主義であるという捉え方です。これって考えてみるとすごいことです。簡単にいうと人のすべての行動に値段がつくようになった、ということで、これが現代社会のシステムだと理解すると、なんだか市場資本主義ってちょっと恐くも思えます。

2つ目は、その資本主義が過熱すると競争が激化して、その結果0円に近づいてくるという、一見矛盾したような結果に行きつき、それがシェアリングエコノミーなどになって登場している、という考え方です。確かにwifiが無料で使える場所は増えてきたし、オンライン上のシェアリングエコノミーサービスは、その場に店を構えたりやりとりをすること自体は0円になっています。考えてみればフリーソフトも0円です。こういった視点でシェアリングエコノミーを捉えていなかったので、奥深さに気づくことができました。



本書はとても広範にわたった色々な視点で捉えているので、要約をするのは少し難しいです。なので、下にキーワードを上げて、何となくポイントが抑えられることができればと思います。

・IoT:既に人間の数より多い、モノよりもつながることが価値

・プロシューマ―:3Dプリンタ活用、MOOC、ブロガーによる広告など

・無料(Free)ではなく自由(Free):経済ではなく思想

・P2P:昔の習慣や仕組みが今、テクノロジーによってブレイクスルーした

・社会的起業家:ミレニアム世代、経済性と社会性の両立

前にブロックチェーンの本を読んだ時もハッとさせられましたが、テクノロジーを機能としてだけ見るのではなく、社会がどう変わるか、経済や仕組みがどう変わるか、どんな思想にもとづいているのか、を見ていかないと、表層的な理解で終わってしまうんだなと思いました。その意味で本書もシェアリングエコノミーや、フリーになっていく時代の流れが何を反映しているのか、ということを気づかせてくれる本だと思います。時代は変わってきています。
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