知っておきたいDDP:アントレプレナーの戦略思考技

公開日: 2018年1月27日土曜日 ビジネス マーケティング メソッド

昨年末にTakram・佐々木さんのお話しを聞く機会がありました。その中で僭越ながら、『デザイナー出身の人がストラテジーに踏み込むとき、ビジネスのどこまで入るべきか?具体的には数字にどこまで関与すべきか?』という質問をさせていただきました。それに対する佐々木さんの考えとしては、まずクリエイティブに関わる立場の人は新規事業(0-1)の領域にフォーカスすべきで、その領域ではMBAの知識を身に着けることに時間を費やすよりもデザインの経験が大切になる機会は多いということでした。

そのうえで、0-1の領域において関わってくる数字(会計や財務)は戦略に関わる人なら知っておいたほうがよい、ということでした。そして、その一例として教えてくれたのが、この本に出てくるDDPという手法です。



アントレプレナーの戦略思考技術
リタ・マグレイス/イアン・マクミラン 著 大江 健 訳
ダイヤモンド社 2002.01

佐々木さんからはDiscover Driven Growthという英語の本を紹介してもらい、早速ネットで購入して読み始めてみたのですが、ざっと目を通して、これを真面目に読んだら一年かかりそうな気がしたので(難しいテーマを英語で読むのはさすがに厳しい)、とりあえず机の上に置いておきつつ、日本語で相当するような本を探してみたら、著者が同じだったこの本にたどり着きました。

構成は違うけれど、全体的にはこの2つの本は似たような内容のことが書かれています。(と思います、違ったらスミマセン)ここで紹介するDDPも両方の本に書かれています。
本書の全体の構成は、新規事業におけるリーダーの志から実践における分析手法やフレームワーク、事業を立ち上げ推進していくうえでのポイントなどについてまとめられています。主目的ではなかったのですが、メモの左下に書いた、アトリビュート分析はとてもわかりやすい分類の整理方法で、汎用的に活用できそうな印象をうけました。(ちなみに僕は3x3のマトリクスを好んでよく使います)

で、本題のDDPは後半の方に書かれています。DDPとは Discover Driven Planningの略で、事業創出におけるプロセスとそれを整理するための計画法になります。中に含まれている、対象領域のベンチマーキング、課題の明文化、仮説検証のチェックリスト、といった項目自体に真新しさはありませんが(2002年の本なので)、項目は財務的な視点から記述や評価をしていくものも多く、これはデザイナーにはなじみのないアプローチです。



で、その中で一番のポイントが『逆財務諸表』です。これは何かというと、普通の財務諸表の作成は、各項目の収入と支出を集計して、貸借対照表(P/L)や損益計算書(B/S)を作成していきます。それに対して『逆』では、はじめに目標の利益額を設定して、そこから必要な売上やそれを実現するための経費の数字を当てはめていき、事業を実行するための実現性の見極めと事業計画を組み立てていく、という内容です。分かりやすくいうと、足し算をして答えを出すのが通常の財務諸表、逆財務諸表は答えを先に書いて虫食いの項目を埋めていくアプローチです。

・財務諸表:3+5+7=?
・逆財務諸表:?+?+?=12

自分事ですが、実は少しでも数字に強くなりたいと思って、2016年に日商簿記検定の3級を受けて取得しました。商業科の高校生でも取れるような資格ですが、僕にとっては、とてもとても辛い勉強でした。そのせいか、一発で取ることはできたものの、終わったとたんす~っかり内容を忘れてしまってます。いま受験したら半分もいけないかも。ですが、考え方と表を読む視点は覚えているので、貸借対照表と損益計算表に対する理解は少しだけあります。

まず入り口としては細かく考えずに、その事業が〇年後に〇円の利益を上げてると設定したときに、次のように整理して始めるのが分かりやすいのかと思います。
・〇年後に〇円の利益
・そのサービスを実施するための開発投資
・サービスを運用するための費用
・必要となる売上(上の3つを足した金額)

実際には、その数字が妥当でリアリティのある値かという実践的な経験値がないと、机上の数字合わせだけになりそうなので、僕のように慣れていない人にとっては難しい取組みですが、世の中の事例から学んだり、経験値を積むことで勘所を得ることはできるようになるのではと(希望的に)考えます。メモで描いている事例の数字は、花王がかつてフロッピーディスク開発に参入したときのものだそうです。これからは、世の中のサービスに対して、お金がどう動いているかという視点をもって、ニュースに関心を持とうと思いました。

やっと入り口は理解できるようになってきたので、つぎは英語のほうも読まないと。。。


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