オーダーの自動化:アメリカのファストフード系レストラン
公開日: 2018年2月17日土曜日 テクノロジー ビジネス マーケティング
アメリカの出張で印象的だったことの1つは、主にファストフード系のレストランの多くが、タブレットによる注文システムを採用していたことです。いろいろなお店で体験した中から、特徴的だった3つの事例を紹介します。1.Shake Shack
https://www.shakeshack.com/
ファストフードのハンバーガー屋さんです。ここでは、入ってまず端末を操作して注文をオーダーします。決まったら注文してその場で支払い。あとはカウンターで受け取るといった流れです。店員さんがそばに1人立っていて、使い方が分からないと教えてくれるのですが、いずれはその仕事もなくなってしまうのかなと思うとちょっと複雑な気持ち...。
アメリカでは、コーヒーの注文など少額でも支払はクレジットカードで行うのが一般的です。多いパターンは、自分でカードリーダーに差し込んでレシートを受け取ったり、Squareのようなシステムであればタブレットに手書きでサインをして領収書をメールなどで受け取る、といったながれです。
どっちにしろ端末を使って支払いをするなら、オーダーを含めて1つにまとめてしまえばいいという考え(で普及したのかはわかりませんが)は合理的だと思います。日本では居酒屋とか回転すし屋に多い気がしますが、支払いのタイミングや方法が違うから、日本とアメリカでの普及のしかたが違っているのかな?と思われます。日本でいきなりコンビニやファストフードに広めようとしても難しいですが、suicaなどのICカードを使っての決済だったらありかもと思います。中国だったらQRコード使ってですぐに広がりそうですね。もしかして既に普及してる?ちなみにバーガーは美味しかったです。
2.New Ark airport
united airlineのターミナル内はごらんの通り、席の至るところにタブレットがついています。このタブレットも食事を注文するためのディスプレイです。ぼっち飯のためのものではないと思いますが、光景はやや異様。僕はこのとき2人で向かい合って食べましたが、タブレットをよけながら会話をするという謎なUXでした。
実はこのシステムには運営側のメリットもあるようです。写真の席はどこかのお店の中かもですが、それ以外にも共有のスペースにも同じようにテーブルとタブレットがついていて、そこに座って注文をすると、空港ターミナル内にあるすべてのレストランの注文が行えます。つまり店同士で客や席の奪い合いをするのではなく、みんなでスペースをシェアして1人でも多くの人に食事を提供する機会をつくっているのが、このタブレットによって実現できています。これって日本でもフードコートとかレストランフロアのような場所には使えそうですね。あるいはラーメン横丁とかでもありかも。
一緒に行動していたアメリカ在住の人から聞いた裏話では、このシステムはそういった合理的な面がある一方、こういった場での支払いはウェイター/ウェイトレスがお金をくすねてしまうことがよく起こるらしく、それをデジタルに置き換えることで問題を防いでいるということだそうです。なるほど、これも日本とは違った要因から出てきている動きですね。
3.eatsa
https://www.eatsa.com/
サンフランシスコにある、オートメーションのファストフードです。このお店はなかなか未来感のある仕組みです。注文はタブレットで操作しますが、アプリをダウンロードしておけばスマホからもできます。(つまり店にいく前に注文することもできます)秀逸なのは細かいオーダーができること。例えばハーブをもっと多くとか、オートミールも追加するとかが行えます。で、それに応じて値段が細かく変動します。これはデジタルならではの利点ですね。アナログでこれをチェーン店がやっていたら大変です。
注文するとリストが画面上に出てきます。そしてしばらくするとロッカーのようなところから注文した食事が出てきます。スマホアプリを使えばもちろん店の外でもお知らせがきます。あとはフォークなどをとって店の中か外に持ち出して食べる、というほぼすべて無人で成り立っているお店です。もちろんロッカーの裏には注文を用意している人がいると思いますが、調理の自動化もアメリカでは進んでいるようなので、将来的にはすべて無人化する可能性もあるかもしれません。
このお店、前は店舗がたくさんあったそうですが今は2店舗だけで、自分で店舗数を拡大するよりも、このシステムを売りものとして、他の飲食業や小売業などに展開するビジネスモデルに転換しているということです。
ちなみに食事はとてもおいしかったです。サラダ中心のどんぶりみたいな感じで、これ日本にもあったら、通勤中にこれ買ってオフィスで食べる人は多いんじゃないかなと思いました。自動化かどうかは置いといて、個人的には日本にも進出してきてほしいです。
といった感じで、簡単にいうとディスプレイを使ったオーダーのデジタル化が進んでいるという話ですが、その背景にどういった要因で導入する必要性や、企業側の狙いが見えてくると、ビジネスにつながる戦略が考えられるようになることに気づいた体験でした。
ちなみにアメリカの郵便局に行ったとき、土曜日だったのでカウンターは締まっていましたが、端末を使って無事に小包を送ることができました。食以外のところでもサービスの無人化は進んでいます。世界的にはキャッシュレスの動きが加速しているなか、それに伴ってこういったサービスやインターフェイスのデザインにどう影響していくかをリサーチしておくことの必要性を再認識しました。
ところで最近、自動化といえばAmazon Goが話題ですが、今回たまたまシアトルに行くことができたので体験してきました。それもまたレポートします。