オフィススペースのトレンド:デザインファーム・コワーキングスペースなど視察

公開日: 2018年2月25日日曜日 コミュニケーション デザイン ビジネス 建築

アメリカの出張でこれもまた、たまたま運よくなのですが、時代をリードしている企業やデザインファームのオフィスやコワーキングスペースを見る機会に恵まれました。会社名に関しては秘密ですし写真も撮影はNGですので、あいまいな伝え方になるかもしれませんが、できる範囲で共有します。


デザインファームのスタジオ

見させていただいた中で、デザインファームに共通する特徴点はこんなところです。
・キッチンとごはんを食べる場所がある(そして広い!)
・気持ちいい光が入る(場所を選んでいる?)
・会議室はガラスで仕切られ、聞こえないけど見える
・壁に絵や文字が書けるスペースがたくさん
・プロトタイプルームに工作機械やマテリアルなどが充実
・基本ワンルームだけど適度によい仕切りがある
・適度な洗練さとタイムレスな要素のバランスがいい
・プレゼンスペースがある(キッチンと併用している場合もある)



中でも特に印象的だったのは、キッチン・ガラスのミーティングルーム・プロトタイプルームです。キッチンは会社によっては「店か?」と思うくらい充実して広いところもあります。(写真は公開OKの事務所・外部の人も入れるスペースだったので)ガラスのミーティングルームは仕切っているといえ、むしろ色んな人が活動しているのが感じられて活気がある印象をうけます。プロトタイプルームに関しては、これほどデジタルが広がっていても、基本である素材や簡易的にカタチをつくってみる環境がしっかり整っていることに感心しました。いや、当たり前のことなんですけど、いま日本の特に企業内のデザイン部門ではあんまり作業できる環境ないんじゃないかなと。

見ていて正直うらやましいな、と思いました。何というか、プロのデザイナー同士の経験やスキルが交わえるような空気感を持っているんです。スペース的な理由としては適度なオープンさとパーソナルエリアをしっかり持てていることや、秩序がありながらも画一的でないデスクのレイアウトがそうさせているんだろうと思います。あと今回はとくに名前が知られているデザインファームが多かったこともあったからか、根本的にそこで働くデザイナーへのリスペクトがあることを感じました。



mini A/D/O

ニューヨーク・ブルックリンの湾岸沿いの新しく開発しているエリアに新しくできた建物のようです。この施設のオーナーはminiを所有するBMWで、企業がアクセラレーターとなってスタートアップを支援し育成して自社の新しい資産につなげることを目的としたものです。建物の構成は、支援を受けたスタートアップの人たちのオフィス、アクセラレーターのオフィス、コワーキングスペースとしてのオフィス、イベントやプレゼンルーム、食堂などがありました。




訪れた日はたまたま、どこかの学生のエコをテーマにしたピッチイベントが行われていました。企業がこのように自ら施設を構えて、チャレンジする人たちを受け入れる姿勢はすばらしいですね。多くは自社の理論の中に取り込もうという雰囲気が強い印象がありますが、企業が全面に出ないでそこに関わる人たちが主役として扱うのとでは大きく違うように思えます。日本ではPanasonicが100banchという名前で似たような取組みをしていますが、まだ行ったことないので機会あればいってみようかと思います。






コワーキングスペース(weworkなど)

打合せでシアトルのweworkに入ることができました。入り口はほどよいバックミュージックとゆったりしたスペースで、心地よい空間です。コーヒーが飲めますしビールも飲めます。それに対して奥の方の通路は狭めで、一人用の席は電話ボックスのようなスペースで、クローズドなドアではないので廊下から見ることができます。



ニューヨークでも別のコワーキングスペースに入ったのですが、印象としては似たような構成になっていました。1人用は狭めで、フリーアドレスは長机のカタチ、複数人の部屋や打合せの場所はガラスドアで仕切られている半オープンという構成が主流のようです。デザインファームのつくりとも共通点がありました。写真は紹介カタログです。



あとこれはシェアオフィスではないのですが、下の写真のブルックリンで通りかかったカフェが実にいい感じでコワーキングな場になっていました。天井が高く広々とした気持ちのいい空間と適度な人の行き交いがあり、僕もここでだったら作業がはかどりそうだなと思えました。もちろん前に紹介したcitizenMや、ニューヨークではACE Hotelなどのホテルにもエントランスがそういった場になっていて素晴らしいです。こういう場所が日本にももっとほしいです。あと単純な話ですが、天井が高いっていいですね。



ちなみに人から聞いた話での情報ですが、日本のweworkはローカル展開をする際に、メインターゲットユーザーを大手企業の新規企画部門などのような人にフォーカスしたのだそうです。なので場所も都内の一等地が多いです。確かに日本ではスタートアップ系の人がこういった場所を使うイメージがないので、戦略としては理にかなっているような気がします。...が、個人的に日本では、ある人から紹介してもらった別のコワーキングスペースがとても魅力的で、そこに入れないかな、と思っています。どこかは内緒です。

・・・

といった感じで、写真がほとんどないので伝わらなかったかもしれませんが、全体的には程よいオープンな空間、人と人がつながりやすい構成、職位や階層を感じないフラットな関係性、といったことに共通点があったように思えます。企業で働いているとデザイン部門でも、一般的には画一的なオフィスレイアウトになっている割合が強いけれど、クリエイティブな人たちの動向はこうなってるんだ+こういうところで活動できるようになりたいな、と思いました。
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