観光のデザイン戦略:札幌でのフィールドワーク

公開日: 2018年3月30日金曜日 リサーチ

ずいぶん前のことですが、年末年始に実家の札幌に帰省しました。僕が実家を離れて東京方面で暮らし始めたのは2000年なので、その頃と今とではずいぶん変わりました。何が一番変わったかというと、

外国人の観光客がすごい増えた

ことです。僕が住んでいたときは外国人は雪まつりくらいでしか出会う機会はなく、特にアジア圏の人に出会ったことはほぼなかったです。(東京ではじめて東アジア系の人が多く住んでることを知り、顔立ちは似ているのに言葉や文化がぜんぜん違うことにショックを受けたくらい、それまで国外に対する免疫がありませんでした)それが今や、北海道はどこへ行っても街中や観光地はアジア圏を中心として外国人がたくさんです。個人的に北海道は世界一すばらしい場所だと思っているので、もっともっと知ってもらいたいと思っています。


で、そんな観光における北海道の現状を見て、いくつか気になった点があったのでここに書き留めておきます。関心することがいくつかあった一方、UXや戦略という視点ではまだ足りないと感じたことがありました。大きく3つにまとめてみます。

1.インフラとしてのUX

僕も今回は外国人旅行者と同じようにスーツケースで帰ったのですが、街中でウーンと思うことがありました。中心エリアの地下にコインロッカーがあってスーツケースが入れられるものもあったのですが、支払方法が問題でした。大きいロッカーは700円、支払は現金かICカードです。ですがICカードは地元の交通系ICのみで、いやいや旅行者でそれを持っている人はいないでしょ。で、現金は100円玉のみ。7枚ももってることはまずないし、両替も近くにない。。。これはくじけそうになります。(ちなみにその後コンビニ行って1000円をくずしに買い物したら、油断していて500円玉でおつりをもらい。。。)ロッカーが設置されているハード面の配慮は素晴らしいのですが、ソフト面としてのUXにまで目を配らせてもらえればと。誰かデザイナー関わっていなかったのかな?

そういった点で東京は積み重ねがあるんだなと改めて感心しました。帰りは空港から高速バスを使ったのですが、バスの発車時間まで少ししか時間がなく、あわてて端末画面を操作したのですが、始めて操作したのにも関わらず迷わずにすぐ購入できました。おおまかな行先を選んでから目的地を選んで、最後に人数(大人と子供)を選択という流れになっていて、考えながらでも操作に迷わずに戻らないで買えました。とてもよくできていると感じました。(ユーザビリティ検証を相当やっているはずです。関わったデザイナーさん、えらい!)

『ある』という物理的なインフラだけでなく『使える』というUXとしてのインフラが観光では大きく影響するような気がしました。ぜひUXデザイナーを観光プロジェクトに参画させましょう。

2.コミュニケーションの接点

もちろん、ほめるところもたくさんありました。レストランでは外国人のお客さんに対して、アルバイトの人でもシンプルな英語で丁寧に注文や好みなどを聞いたり(流暢に話せなくてもしっかり意思疎通ができてる素晴らしい対応だと思いました)、スキー場では中国語を話せるスタッフの人がたくさんいて驚きました。(僕が住んでいた頃には考えられません)

その一方で、地元の生活者と会話する機会はまだ少なさそうと感じました。例えば、札幌の真ん中にある大通り公園で雪遊びをしているアジア人の親子がいたのですが、地元を知っている僕からすると、そんな場所よりもちょっと行けばもっと思い切り遊べる場所がたくさんあるのに(例えば近所の公園でもすべる坂があったりします)と思います。

最近では東京に訪れる外国人は色々な場所を訪れます。きっと始めは東京に住んでいる人がニッチで魅力的な場所を紹介して、それが口コミになって広がっていったのではないかと思います。同じように、北海道の魅力も観光地だけでなく、日常の自然にも魅力はたくさんあるので、これがつながれば観光の幅はもっと広がるし、地元の生活者にとっても新しい機会ができるのではないかと思いました。

北海道の人は、他県に比べて外国人とコミュニケーションする機会が少ない方ではないかと思います(実態は知りません、主観による印象です)が、これだけ外国、特にアジアの人が多く来ているのであれば、お客様としてだけ考えるのではなく、チャンスと捉えて言葉を学んだり、逆に彼らの国に観光しに行きやすい関係性もつくれるのではないかと思います。(いろんな難しさはありそうですが)

3.食の伸びしろ

僕は勝手に北海道の食は世界一だと思っています。実際、観光客の楽しみの一つはごはんやスイーツだと思いますし、現状もビジネスとしてうまくいってるのだと思います。

でもまだ伸ばせるはずです。

例えば回転ずし。地元の人は回転ずしをよく食べます。北海道は回る寿司でも美味しいお店が多いからです。でもそういったお店はロードサイド、車で行くような場所にあるので、観光客にとってはちょっと足が遠くなっています。送迎バスとかって考えられないでしょうかね?

あと高級料理店がもっとできないかなと思います。和食はもとより、北海道のフレンチは超美味しいですし、景色も素晴らしいところが多いです。なのに東京よりお店が少なく価格もリーズナブルなのはもったいないとも思います(食べに行く側としてはうれしいですが)美食のために(東京では味わえない)北海道に旅行にいく、という状況にいつかならないかな、と妄想で思います。そのポテンシャルが120%持っている土地なだけに。

・・・

そんなことを考えました。観光はユーザー体験が直結するビジネスであり、行政や生活者との協力が欠かせないので、こういった取組みにこそ、デザイナーが関わるべきであり、かつ戦略的な視点が必要になるのではないかと思いました。個人的に地域の観光戦略にはとても興味があります。何か接点あるようでしたら、声をかけてみてください。


(書いた内容の写真撮り忘れたりメモ書いてないので、今回はイメージだけで)

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