たとえの使い方が秀逸:会計超入門!
公開日: 2018年6月26日火曜日 コミュニケーション ビジネス メソッド
懲りずに会計の勉強です。なるべくやさしくて頑張らなくてもわかるような勉強法を探していますが(なのでいまだに入門本ばかり)、この本は本当に入門として最適だと思います。内容もさることながら、こういった知らない人には興味もないし入りが難しい内容をいかに興味を持てるように伝えるか、という点において大変参考になります。会計超入門!知識ゼロでも2時間で決算書が読めるようになる!
佐伯良隆
高橋書店 2018.01
難しい内容をたとえ話で分かりやすく伝えるテクニックがありますが、これは実はなかなかスキルを要することだと思います・ピッタリと相手の理解にはまらないと、むしろ分かりにくくなったり誤解を与えてしまうことがあって、僕はたとえが微妙すぎて相手に伝わらなかった経験が何度もあります。(表現が意味不明で変わっている人という印象を持たれることが多い)
僕の場合、デザインのことをデザイン業界外の人に伝えるときにたとえを多用すると、本来の意味と違った認識を与えてしまうこともあるので、安易に使わない方がよいと思うときがたくさんあります。特に自分の思考とは異なるタイプの人たちに伝えるときは、共通の認識や関心事を考えると、実はあまり多くなかったりすることがあります。なので、たとえはなるべく万能で、誰もが同じような考えを持っているものにした方がよいはずです。
そのいいたとえの1つは「人」です。
この本は会社を1人の人に見立てています。そして、会計で出てくる専門用語や表を、その人の体調や成績に見立てて説明しています。代表的なもののたとえは下記の通り。
・決算書:成績表=調子のよしあしがチェックできる
・貸借対照表:健康診断書=健康状態がわかる
・損益計算書:運動成績表=前の年から運動量が比較できる
・キャッシュフロー計算書:血液検査表=身体の循環がわかる
なるほど!と思いました。今までは貸借対照表などは何か?を会社の理屈だけで理解しようとしていたけど、そもそもそれは何のために?とか、どういう視点で見るのか?ということが分からないまま知識で覚えようとしていたので、頭に入らない状態でしたが、これだと具体的なイメージができます。それを誰でも同じようにイメージできるたとえを持ってきているのは、よく考えられています。すごい。
例えば貸借対照表は、見た目ではわからない筋肉(固定資産)、脂肪(流動資産)、骨(純資産)をたとえに使っています。脂肪はエネルギー源でもあるので全くないと元気に動くことができないけど(会社の活動ができない)、ありすぎると身体が重くて不健康な状態になる、というイメージで流動資産とは何かを理解することができます。決算書を見るときの1つ壁が「この数字はいいのかわるいのか分からない」ということなので、ここから基礎を固めることはすごい大事です。
というわけで、だいぶ僕自身の理解は深まりましたが、とはいえ実際の会社の決算書を読んでみないと実際の肌感覚が分からないので、あとは数をこなす必要があります。なかなか自分から見る動機がつくりにくいので、その年の決算書読み比べ〇社みたいな本があればバッチリなんですけど...。
ちなみに、メモで描いているイラストは、この本のイラストレーターさんの絵をそのまままねて書いたものです。かわいくて感情移入ができますよね。なのでアレンジしないでそのまま写したほうが正しく伝わるなと思って本の通りに書きました。